お山の道具

“わかん”の違いってあるの?☆ワカン都市伝説‼を探るwにゃん!

Q&A 登山とか道具とかの疑問・質問

 

 

ネコです。

お山を歩き始めてみて、わからない事がたくさん。

いろいろ、教えてほしいです。

 

 

 

マタタビです。

山旅をしながら、気ままに歩いているよ。

ボクが知っている事をお話しするよ。

 

ねこ
ねこ
またたびさん。前にワカンとスノーシューの違いを教えてくれたよね。
ネコがわかんを選ぶならどのタイプが良いのかにゃあ?
マタタビさん
マタタビさん
ネコは雪山ハイキングに、スノーシューじゃ無くて”わかん”に興味があるんだね。
ねこ
ねこ
うん。この前買った冬の登山靴に、アイゼンとワカンを利用しながら、雪のお山へ登りに行きたいの。 
マタタビさん
マタタビさん
じゃあ、まずは主要メーカーのワカン特徴を比べてみて、そこからネコに合ったワカンを見つけていこうか。

「エキスパートオブジャパン」

「マジックマウンテン」

「オクトス」

商品写真
メーカー
商品名
エキスパートオブジャパン
HSスノーシューズ
マジックマウンテン
ラッセルEVO
オクトス
アルミわかんラチェット式Pro OX-097
フレーム材質 アルミ(地金) アルミ(メッキ塗装) アルミ(メッキ塗装)
ツメ材質
(フレーム留め)
ステンレス
(リベット打ち)
ステンレス
(ネジ式)
アルミ合金
(ネジ式)
固定方法 ベルト ベルト ラチェット
重量 (g) 800g 1000g 1120g
サイズ 441㎜×182㎜ 450㎜×190㎜ 430㎜×190㎜
フレーム形状 フラットフレーム
(別タイプでベントフレーム有り)
フラットフレーム
(別タイプでベントフレームタイプ有り)
フラットフレーム
フレーム径 22mm 21mm 23mm
商品リンク Amazon Amazon Amazon

 

マタタビさん
マタタビさん
ざっと、各メーカーのメインタイプのわかんを表にしてみたよ。

フレーム素材?形状?ツメ留め?

何それ、わかんニャイ・・・

 

フラットフレームとベントフレームの違い

マタタビさん
マタタビさん
ワカンのフレームにはフラットフレームタイプとベントフレームタイプがあるんだよ。
ワカンは、縦に長い楕円型のパイプで出来ていて、パイプの浮力に乗る事で雪に埋もれない仕組みだよね。
パイプがまっすぐ平行なのがフラットフレーム
パイプ片側がソリ上がっているのがベントフレーム
◆マジックマウンテン フラットフレーム
◆マジックマウンテン ベントフレーム
ねこ
ねこ
その違いで何が変わるの?

フラットタイプの良さは新雪の急斜面になったら雪を蹴り込んで歩けること。
ベントタイプはつま先側が反り返っているフレームで、固い雪に対して歩行時の引っ掛かりが少ないと言うメリットがあるんだ。
でも、ワカン本来の威力を発揮する深雪ではフラットタイプもベントタイプも殆ど差は無いよ。
ベントタイプは、見た目には歩きやすく見えるけれど、フレームを曲げた箇所が伸びてしまい、強度が劣ってしまう点があるね。
反り返りはスノーシューみたいに長さの無いワカンには不要な加工かもしれないね。

 

マタタビさん
マタタビさん
ボクはアイゼンと併せて使うのは、おすすめしないんだ。

仮にアイゼンを必要とするフィールドを歩く場合に、ワカンを併用する使い方は、特に素人には危険であって、問題外とも思っているよ。

ねこ
ねこ
ねこは、あんまり怖そうな場所は行きたくないニャ…。 
マタタビさん
マタタビさん
冬の寒い時も脱着を面倒がらないで、シーンにあったアイテムを利用するのが安全で快適な道具の使い方さ。
フラットフレームを裏返して、アイゼンと併用した装着
フレーム材質と塗装、ツメの固定方法
マタタビさん
マタタビさん
フレーム材質はどのタイプもアルミ合金で出来ていて、基本のアルミ素材からどのように工夫がされているかを説明するよ。
それぞれのワカンにはフレームの特徴があるんだ。
・軽さ
・強度
・雪の付着

これらの要素が違う事で選ぶ基準になってくる。

 

◆軽さを重視しているエキスパートオブジャパンのワカン

フレームはアルミ合金でできていて、パイプの径は22ミリと、浮力にも勝っているよ。
でも、軽さを重視しているのでパイプ自体の厚みは薄い。

もう一点の軽量の理由は、アルミ地金のままで造られていることで、そこが他のメーカーと違う点だね。

 

雪をすべらせるメッキ塗装が無いパイプなので雪の付着が多くなって、結果的に重くなる事もある。
ステンレス製のツメは、左右2枚のパーツをスポット溶接で合わせて空洞になっているのも、軽量化の理由のひとつだね。

ただ、軽さのと引き換えに強度は低くなるので、うっかり岩上などを歩いてツメが曲がったり折れたりするリスクは高くなる。

マタタビさん
マタタビさん
そしてツメは、リベット打ち金具でフレームへ留められているので、曲がったり折れたりした時には、どうしても修理をメーカーへ依頼しないとならないんだよね・・・。

◆軽さと丈夫さを併せ持ているマジックマウンテンのワカン

フレームはアルミ合金でできていて、パイプの径は21ミリで、3社でいちばん細いパイプになるよ。

その代わりフレームが長くされていて、シャープな印象のデザインだね。
細目のパイプで軽量化を図っていて、多少浮力が劣る分、縦の長さでカバーしている。

加えて、メッキ塗装のコーティングをすることによって、フレームの強度を上げて、雪の付着を軽減出来るんだよ。

ねこ
ねこ
何だか、かっこいいにゃー。 
マタタビさん
マタタビさん
ツメはステンレス製で、エキスパートオブジャパンと同じように造られているので中が空洞で小型化されて軽量化を図っているよ。

でもフレームへの固定はネジ式の留め具を使っているので、破損した場合に個人でパーツ交換をすることが出来るんだよ。

ねこ
ねこ
自分で交換できたら、修理を待たないで、またすぐに冬の登山に行けるね! 

ネジ式の良いところは、ツメやパイプのパーツを購入してユーザーが自分自身で修理が可能なこと。

◆とにかく丈夫で装着に安定感があるオクトスのワカン

フレームはアルミ合金でできていて、パイプの径は23ミリと、いちばん太さのあるフレームだね。
径が太いから浮力もあって、フレーム自体も強いモデルになっているんだよ。

更にメッキ加工コーティングがされているので、強度に加えて、雪の付着も軽減される。

マタタビさん
マタタビさん
ツメは他社と違っていて、強硬度なアルミ合金を鋳型に流し込んだ成形加工品でできているよ。
うっかり岩に乗ってしまっても、折れることはあまりなさそうだねw。

ツメの横には前後の滑り止めとなる「第二のツメ」が施されていて、雪への食い込みがより安定する工夫がされているのも良いね。

アルミ合金のジュラルミンはとても軽くて強度のある素材。
ツメを留めているネジもステンレス製で、強くて軽いツメを持つワカンになるね。

 

デッキベルト

マタタビさん
マタタビさん
最後は、靴を載せるデッキベルトと、靴を留める装着具を比べてみようね。
ねこ
ねこ
上手に履かないとズレちゃうって聞いたことあるにゃ。 

冬用の登山靴を乗せるデッキベルト部分は、アイゼンやスノーシューとは違って、細い紐の上に足を乗せるんだ。
その昔は縄であった部分を、ベルトに変えたのが今のワカン。
各メーカーは特色を生かす素材でデッキベルトを展開しているね。

 

◆エキスパートオブジャパンのデッキベルトは軽量重視で、ナイロン製のベルトが張られているよ。

摩擦でツメとベルトがこすれない様にリングで防御されているけれど、消耗や切れてしまった場合も、交換パーツを取り寄せて補修が可能だよ。

◆マジックマウンテンのデッキベルトはポリウレタンでコーティングされていて強度のあるベルトになっているよ。
コーティングのおかげで雪の付着も軽減されるんだ。

こちらも交換パーツを取り寄せての補修が可能。

オクトスのデッキベルトはナイロンベルトにゴムシートを重ね合わせたベルトになっていて、これも強度が強く作られているよ。
ベルトのハトメ穴に固定具ベルトを通して留めることで、固定具がズレない工夫がされているんだ。

ベルトは別売りされていて、ネジ式で固定のツメも取り寄せて交換ができるよ。

装着具

そして、初心者がもっとも気がかりな装着方法

ワカンは、チェーンスパイクやアイゼンよりも使う頻度が少ない事もあるので、装着の仕方を毎年忘れてしまい、復習や練習をする事もあるんじゃ無いかなw。

寒い状況で脱着をする道具なので、スピーディーに装着をして、かつ正確に装着が必要になる道具だね。
各社の特色もあわせて、説明しようね。

 

ねこ
ねこ
難しそうで、ちゃんとできるか心配にゃ…。 
エキスパートオブジャパンのワカンはバンドと言われるベルトを使った装着方式だよ。

 

ナイロン製の一本のバンドを順番通りリングに通し、靴に合わせて締める様に装着する。
どんな道具にも、使うために練習は必要になるけれど、ワカンのベルト式装着は、必ずちゃんと練習をした方がいいね。
注意点は、しっかりとした装着が出来ていないとベルトの緩みがでて、歩行時に靴とのズレがおこってしまうので、歩きづらく転倒など危険にもなってしまう。
脱着や締め直しは寒いフィールドでの作業になるので、しっかりした装着経験を必要とするよ。
マジックマウンテンのワカンは個別で留めるベルト式の装着方法だよ。

 

EVOベルト締めシステムという締め方の装着方法で、つま先部分と、かかと部分と個別にナイロン製のベルトを締めて装着する方法なんだよ。
個別に締めて装着することで、一本の紐を使うタイプよりも装着の仕方が分かりやすく、脱着も簡単にできるんだよ。
脱着が簡単であることの利点は、フィールドに合わせて機敏にアイテムの変更がしやすくなる事だね。
オクトスのワカンはプラスチック製の留め具なんだ。
ラチェット式という装着方法だよ。

 

他のメーカーの紐を使った装着方法とは違い、唯一プラスチック製のラチェット装置を使っているワカンになるよ。
ラチェット式はアイゼンにあるから、使ったことがあるかも知れないね。
ギザギザしたベルト歯車を締め上げて装着するから、装着も調整もとても簡単で早く履くことが出来るんだ。
ズレを防止するためのベルトもあるから、ガッチリ装着が出来るんだよ。
その代わり補助器具が多い事もあって、ベルトタイプの装着具より重くなるね。
でも、動作がとにかく楽なので、分厚い手袋をした手でも楽に脱着が出来るんだ。
マタタビさん
マタタビさん
ちょっとは色んなタイプのワカンのこと、わかったかな?ねこが気になることは何かあるかい?
うん。
ワカンとアイゼンを一緒に使うって所がが気になるにゃ。
ひっくり返して一緒に付ける理由はわかるけど、やっぱり不思議でわからないにゃ・・・。
どんな時にそうやって使うのか判断も難しそうで、こんがらがっちゃうし、上手に付けることが出来るのか不安だニャ(汗)

 

ワカンとアイゼンを一緒に使うという、都市伝説について

 

 

マタタビさん
マタタビさん
そうだね、その不思議を説明しようね。

ワカンを裏返しにしてアイゼンと併用する。

そんな都市伝説の始まりは、「木製ワカン」の時代があって、そこから始って今だ語り継がれている、過去の遺物のお話なんだよ。

その昔、45年ほど前にアルミ製のワカンが登場する前は、麻縄と木で出来たワカンしかありませんでした。

雪がある程度踏み固められた登山道や表面がクラストした雪上を歩く時には、アイゼンだけだと時々踏み抜いてしまう事があります。

ねこ
ねこ
45年前にアイゼンはあったのね。

そんな時はアイゼンを装着した上にワカンも併用すると解決するので、そんな使い方が出来ると言われていました。

なぜ裏返しにするかと言うと、木製の爪は固い雪には刺さらないし、写真のように爪が削れたり割れたりするから。

 

爪を消耗させないように裏返しにして使うのです。

 

現代のワカンの爪はステンレスやジュラルミンで出来ているから、裏返しにしなくても爪は雪に刺さります

その爪が刺さらないような滑落の危険があるような場面では、絶対に併用してはいけません

併用するとアイゼンの効きは悪くなるし、ワカンへ雪が付着しない様にパイプに施されているスルスルしたメッキ加工が足元を滑りやすくしてしまい、滑落のきっかけを作るだけ。

ワカンを裏返しにしてアイゼンと併用するなんて半世紀も前の都市伝説だから、皆さんそんな使い方はやめましょうね。

マタタビさん
マタタビさん

色んな雪のフィールドを歩いた経験があったなら、思い返してほしいな。
併用できるような場面では、裏返しにしなくてもワカンは使える。

ワカンの先端が反ったベントタイプもアイゼンと併用出来るんだよ。

だから、「ベントタイプやラチェット式は裏返しにして使えないから、アイゼンと併用出来ない。」なんて過去の使い方から伝えられた都市伝説には惑わされないようにしようね!

マタタビさん
マタタビさん
で、ネコはどのタイプのワカンにするか決められそうかな?
ねこ
ねこ
さむーい雪の上でも、ミトンの手袋のままガチャガチャって簡単に履けそうなラチェットのワカンがいいニャ!
でも、赤いバンドも可愛いニャ〜・・。
あと、黒いフレームもカッコイイにゃ!
う〜ん。う〜ん。(@@;)
マタタビさん
マタタビさん
雪が溶けちゃう春が来る前に決まると良いねぇ・・・(^_^;)