旅のこと

夏の裏銀縦走☆高瀬ダムからぐるり一周


 

あそこを歩きたい。

見た瞬間に、ズキュンと衝動に駆られる道。

その中のひとつが今回の道。

鷲羽岳から見た美しい道。

真砂岳から彼方へ延びていく道。

mataTabi
2017年8月 行き先は北アルプス裏銀座

北アルプスの裏銀座縦走コース。

高瀬ダム登山口の北アルプス三大急登と言われるブナ立尾根から、槍ヶ岳を歩く道です。

表銀座と裏銀座の両峰筋は、高瀬川を挟んで対峙するように伸びています。

街側にある表銀座の賑やかな雰囲気と対照的に、奥に位置する裏銀座は、落ち着いた雰囲気。

道を味わうように長い行程の、静かな縦走路の中にある、各々の名峰を巡るのです。

1日目☆

高瀬ダム濁沢登山口<48分>ブナ立尾根取付<43分>権太落し<126分>三角点<97分>烏帽子岳小屋<21分>烏帽子岳山頂分岐<14分>烏帽子岳<14分>烏帽子岳山頂分岐<32分>烏帽子岳小屋<84分>烏帽子ひょうたん池 (宿泊)

さてさて、久しぶりの”夏縦走”の始まりでーす!(^o^)

乗合タクシーを降りまして、高瀬ダム!美しいダム湖です。

このトンネルを抜ければ山だけの世界。

(苦)楽園への入り口w!

あらら?前日までの台風の影響です。
橋が一本流されしまい、皆さん早々に足止め。いきなり苦ですね(^_^;

かなりな水量の中、其々に渡る工夫をします。

私はサンダルに履き替え渡渉、、と、靴に履き替えてる間に、
みるみる水がやって来る!

ヤバイヤバイ、急げ!(^^;;

ついに来ましたよ・・。

裏銀座への入り口です!

ここから冒険の旅が始まるのですね…

って、すでに1個、済ませた感じもありますがw

 

静かな森の道に、突然響く崩落音!

濁沢の崖が崩落が始まり、ガラガラと大きな音が間近に響きます。

ずっと長い時間続いた後、しばらくの間断続的に続く。
台風のオツリは何処にあるか分からないです。

気を引き締めていこう…。

北アルプス三大急登と言われているブナ立尾根。

夏の花々に励まされ登ります。

 

 

ヤレヤレと、三大急登が終わり烏帽子岳小屋へ。

高瀬ダムのトンネルからここまで、約6時間の道のりでした(^_^;

木々に囲まれた窪地の幕営地にテントを張ります。

手前の、三つ並んだ真ん中の、緑色のヤツが私のテント。

サクッと空身で烏帽子岳へと登に行きます。

とても素敵な道だけど、濃いガスが覆い流れてる。

砂の道。

コマクサの群生がポツポツと

道を飾るように咲いている。

 

そして、ふわっと見える烏帽子の形をしたシルエット。

山頂のガスが切れてくれないかなぁ・・。

岩山の鎖場を、小さな男の子がカラビナで確保されつつ、父親と降りて来るのを待ちます。
小さな身体に、無条件な固い絆のロープが見える気がします。

鎖とロープでよじ登り、眼下にはスタート地点の高瀬ダムです。

そして、やっぱりガスの中だった

烏帽子岳山頂です。。

待てば、ガスは抜けたかもですが

時間的に戻らなきゃ…ね。

 

テン場への戻り道の雲と空は、なんだかドラマチック。

台風の置き土産な、美しい大気。

戻った烏帽子小屋は、すっかり晴れた夕方。

ビールを買ってテントに戻ります。

テントに戻ると、偶然その親子がお隣さん。

 

今回の縦走で、始めてシングルウォールテントを使ってみます。

フライシートがない分、軽量になります。
ただし、悪天候にはあまり向きません。

 

その時は、潔く山小屋へ泊まれば良いとの考え。
北アルプスの山小屋はどれも素敵ですから。

楽しい夕暮れ時を過ごし、流れ星を見上げる。

明日はずっと歩きたかった道。
晴れますようにと願う。

2日目☆

烏帽子ひょうたん池<184分>野口五郎小屋<16分>野口五郎岳<29分>真砂岳<4分>真砂岳分岐<95分>東沢乗越<53分>水晶小屋<28分>水晶岳<24分>水晶小屋<22分>ワリモ北分岐<5分>岩苔乗越<42分>祖父岳<14分>祖父岳分岐<27分>スイス庭園<6分>雲ノ平テント場<17分>雲ノ平山荘<18分>雲ノ平テント場 (宿泊)

夜明けチョット前。
紫色の透きとおった稜線の道は、広くて空に近い。

出立して間もない早朝4時半。

朝日がまもなくやって来ます。

眼下の遠いダム湖が光を映し始める。

雲海を遮る、右手の山は餓鬼岳かな?

朝焼けの三ツ岳と、月。

まだ、日は昇っていないのにこの明るさはは何?

見る方向によって、光が違う山の世界。

三ッ岳への手間で、なかなか雲海から出て来なかった朝日を迎えます。
朝日を浴びる山々。

最初の朝焼けから朝日が上がるこの間わずかに30分。

自分の存在が地球のゴマ粒すぎるって思う、特別な時間。

気がつけば、近くから遠くまでグルーっと名峰!

左を見れば、燕岳から槍ヶ岳まで。

表銀座と並んで歩くのです。

近づきつつ離れつつ、今日は一日中それらを眺めて歩けるのか…。

背中には遠く針ノ木岳と鹿島槍ヶ岳の猫耳。

立山から五色ヶ原。

赤牛岳と奥に薬師岳!

薬師岳の道をガン見してしまうのは、いつか行きたいからかなw

そして向かう先、三ツ岳とその向こうに槍ヶ岳です(^o^)!

本当に素晴らしい道です。

ずっと歩いてみたかった道は、想像を超えて広がり続いている・・・。

目指す水晶岳は、濃い夏色をしています。

これから行く道を俯瞰して、嬉しい気持ちが込み上げてきます。
歩く度に、ますます近付いてくる馴染みの山々。

野口五郎小屋です。

ベンチで靴を脱いでモミモミとマッサージ休憩(^_^;

野口五郎岳に着きました!

野口五郎岳からは文字通り360度の眺望!
表銀座の見事な横一列。
その先の槍ヶ岳をまでを目を細めて見る。
そしてまだ遠い場所は、濃い緑と山筋が寄り集まっていく先、水晶岳てっぺん。

指さしてロックオン!

今日、踏みに行けるかな?

さぁ、私のメインな箇所へ。
歩きたかったウラギン、五郎から真砂の稜線!

真砂岳まで、素敵な道を眺めては、至福な気持ちで足跡を付けていく。

真砂岳の分岐はあっという間。

帰りはこの分岐から、湯俣へと下山する予定です。

近づいてきた槍ヶ岳と硫黄岳。

夏花と名峰を一緒に味わいつつ、道を進みます。

道は徐々に厳しくなってきます。

大岩がたい積して、とても歩きにくい。

湯俣温泉分岐からは…、イワイワ道。
最初は楽しいけど、長過ぎてメンドくさい…し、シンドイ(><)

縦走の重いザックと、足の疲れもあって苦労します。

水晶小屋が見えてるけどヘロヘロで、あと少しに見えない( ´△`)

いい加減に体力も無い中、仕事みたいに一歩を踏み歩く。
水晶小屋への最後の赤い登り道にため息し、仰ぎ先を見ると、何だか大仰に両腕を振る人影。
雲ノ平でもし合流が出来たら会う感じだった友人でした。
ガッデム、嬉しい。

すっかりガスが充満してきてしまった水晶岳。

友人には水晶小屋で待っていてもらい、山頂ゲットへ向かいます。

はい、真っ白。

水晶岳へは明らかにガス世界だったのですが、改めてまだまだ未熟者な自分だなぁ。
普段は見えない時にピークハントなんて、って嘯いてるクセに、いわゆるピークハントして来ちゃいました。

 

結局、死ぬまで未熟者でオッケー!とも感じたりね…(^-^;

水晶小屋に戻って、名物ちから汁を頂きます(*^_^*)

こんがり焼いたお餅と根菜がたっぷり!メチャうま沁みます

雲ノ平まであと2時間、力を貰いました。

ガスガスの祖父岳のケルン群です。

残雪が残る雪渓を歩き、雲ノ平へ降りて行きます。

そして、ようやく二日目の幕営地の雲ノ平に到着です!

ガスってるけど嬉しい(≧∀≦)

さて、雲ノ平は2回目です。

テントを張っていたら、烏帽子小屋で隣だった元気な男の子が、こちらを見つけて手を振ってくれました。

おつかれさまー!

 

その雨の夜。
雨なら臨機応変に小屋泊でスマートに旅しよう。

なんて思っていたけど、やはりこの空と大地の隙間に居たくて、テント。

ここで失敗をひとつ。

初めてのシングルウォールテントで、その特性も知らずに、半ば床上浸水で夜を明かします(^_^;

シングルウォールテントは、湿気と外気温との差が大きなシーンでは特に、常にテント内の換気をし続ける必要があります。

自分の発する熱と湿気で、こんなに結露が発生するなんてビックリです…(^_^;

☆3日目

雲ノ平テント場<19分>スイス庭園<30分>祖父岳分岐<29分>祖父岳<34分>岩苔乗越<13分>ワリモ北分岐<33分>水晶小屋<36分>東沢乗越<72分>真砂岳分岐<64分>南真砂岳<83分>湯俣岳<125分>湯俣温泉青嵐荘 (宿泊)

 

夜中に降った雨も上がってくれて、長い道程を想定しての早めな出発。

ガスガスな朝。

よっぽど、夕べは水晶小屋で素泊まりすりゃ良かったんじゃ?

と思ってしまうピストン道ですw

 

 

水晶小屋で親子とまた会い、また湯俣で!と別れる。
この子が先に行くのだ、私も頑張ろう。

靄の中でも、美しく浮かび上がる花々の色彩。

お花畑が、素晴らしい道です。

 

チングルマの綿毛が、しっとり濡れてる。

美しく咲いて、美しく枯れていく

高嶺の花。

同行者パワーと下りベースで、昨日よりはマシに感じるイワイワ道。

湯俣温泉分岐から先は未踏。
噂では相当な下り道らしい。

ガスの中で心配していた、崩落回避のトラバース道も無事に通過。

てか、本番はここからっしょ?!

先にポツンと見えたのは…

あの親子だ!
スゴイなぁ!!

 

 

 

空を諦めて歩くけど、山は美しいね。

次第に表銀座の山並みが近づいて来ます。

ピークは隠れるけど、山並みは分かる感じ。

長くて深い道のり。

裏銀に別れを告げ、森へ入っていきます。

ここは登りたくないわー、と心から思える急降下。
それ程に長く疲れる道。

湯俣岳の山頂です。

どんどん晴れてくる空と、森の美しさ。

 

湯俣岳の山頂はなにも見えなかったけど、

湯俣の森はとても好み。

途中で会った晴嵐荘スタッフのクマさんと、

話しながら歩きます。

見たことない角度の槍や、

大天井岳、燕岳にワクワクした下山道。

 

槍見台の絶壁岩に座り、足ブラブラ…。

水俣川の美しい渓谷を見下ろします。

ちょっとスリルありすぎですね(^_^;

長〜い下りの果てには、かわいい文字の道標とエール。

 

ここも来てみたかった!

湯俣温泉青嵐荘に、ようやく到着です!

 

 

さっそく湯俣温泉に入って、サッパリ!

不思議な琥珀色の美しい温泉は、竹村新道の激下り疲れを優しく癒してくれます。

青嵐荘のテン場は河原の砂地。
グラウンドみたいに広いテント場。

温泉上がりのビールを片手にのんびりと今宵のテントを設営して、せっかくだから墳湯丘へ散歩へ向かいます。

傾いた橋を渡ったり、川沿いをジャブジャブ歩いて10分くらい。

すると途中で、あの親子に出会いました。

烏帽子小屋でテントが隣だった父子。
同じ行程をいつも先に歩いていた。
7歳の男の子。
川の露天温泉から戻る途中、最後にまた再会が出来ました。

陽気さんに2回も会ったって、帽子にサインがあった。
田中陽気さんみたいに、キミからどれだけの力を貰ったろう。

ありがとう!!

対岸に不思議な形の墳湯丘が、湯気の中にありました!

川の水も真っ黒になっていて、とっても異世界…(゚o゚;

気持ち良さげな露天風呂に、次回は仲間と一緒にビールと水着持参で来たいな、なんて思いつつ、足湯を楽しみました。

青嵐荘では食事のみの利用もOK!I

となればラストナイトは美味しい夕飯と純米吟醸です!

 

 

樽酒!

 

夏酒サラサラ大信州で、

この旅に乾杯!!(≧∀≦)

 

☆4日目

湯俣温泉青嵐荘<57分>名無避難小屋<94分>高瀬ダム湯俣登山口 (ゴール)

最後の日。
夜中の雨に、なかなか寝付けなかった朝です…(T-T)

テントを撤収し、ぽくぽくと高瀬川沿いをゴールへ向かって歩き始めます。

綺麗に整備されている水平な歩道。

やっぱり疲れてる身体と足に、優しい道と、優しい緑。

今回も色々あったね…と、道に話しかける様に歩きます。

高瀬川のダム湖に近づいて行くと、不思議な天然色。

自然の色数は無限なのかな…。

 

長いトンネルを抜けて、

アスファルトの世界へ戻ってきました。

 

 

ぱぁっと、開けた視界。

ダムの対岸には小さくトンネルの入り口が見えます。

ほんの数日前に、あのトンネルをくぐって旅に出た自分の後ろ姿を想う。

まるで、タイムリープ。

またいつか、あの向こうの世界へと続くゲートをくぐりに来よう!

今回の行程

 

帰り道。
運転しつつ今回の色んな事を思う。
高速で走る空は、台風後の束の間な夏空や、ゲリラ豪雨やら、賑やか。
まるで今回の上映会。

そう言えば、墳湯丘への途中、あの父子と最後に出会えた時、
温泉は熱くて、父ちゃんだけ入ったって話してくれたっけ。

この旅。
硝子のような彼の瞳から見た景色はどんなだったのだろう。
きっと自分の捻た感性では知れないワンダーランドが沢山だろうな。
いつも前の道を歩いていたキミに、本当に沢山の力を貰った。
ありがとう!

久しぶりなソロ?での山旅に来れた事に、ただ感謝を思います。

最近テレビで見たアドラーさん、ホントそうですよね。
人生が困難なんじゃない、
あなたが人生を困難にしているのだ。人生はきわめてシンプルである。

うん…、その通りですね(^-^)

湯俣温泉☆秘境?エメラルドの湯北アルプスの表銀座と裏銀座の、 その間に流れる高瀬川上流。 そこは湯俣川と水俣川の交わって高瀬川になる、 川の名前が変わる場所。 ...