奥穗高岳山頂から槍ヶ岳
北アルプスの代表選手は、やっぱり穗高岳。
前穗高岳、奥穗高岳、北穗高岳、西穗高岳と、穗高の名前が付いたピークがそれぞれにある。
中でも北アルプス最高峰の奥穗高岳は、王様みたいに堅牢そのもの。
ひとつの目標、穗高岳。
いつかは穗高の高みに立ってみたいと思っていた。
見上げた場所に立てば、この上へと行く道はもう無い。
mataTabi 2022年8月
行き先は穗高岳
1日目☆〜上高地から岳沢小屋へ〜
夏休みです!(≧∀≦)
この上高地エリアに集う人数分に、それぞれ楽しい夏休み。
私の夏休みはね、ウキウキ(≧∀≦)
ずーっと、ずーっと行きたかった穗高岳へ、岳沢からアプローチする穗高岳へと、テント泊にて行ってきましたよ!!
アルピコ交通バスの車窓からは、泥水の梓川&大正池がお出迎えでーす!w
上高地の玄関口のバスターミナルは、しっとり雨曇りなお天気です。
早めに着いたので、天候回復待ちも兼ねて取りあえずランチタイム。
上高地食堂のイワナの塩焼き定食と地ビールですヾ(^v^)k
曇り天気も、明日にかけて回復していくみたいなので、目前の怪しさだって優しい気持ちで見ていられちゃうしw
こんなお天気でも、かっぱ橋は夏休みの賑わいです。
かっぱ橋を渡ってホテルの横を過ぎた石堤からは、雨水で濁流となっている梓川の茶色い水が、少しだけ透明に。
涸沢は厚い雲の休憩地になっているみたい。
左岸の自然探勝路では、すっかり澄んだ色になったけれど水量たっぷり
湿地帯からの六百山は、美しい撮影スポットです。
岳沢の登山口までの短い木道歩きだけど、上高地らしくて気持ちいい♪
自然探勝路の木道から、不意に前穗高岳登山道の分岐が現れます。
この先は登山装備が必要であることと、この登山道が長野県の安全登山条例に基づく指定登山道で、登山計画書の提出は、条例としても必要だという内容の注意書きがあります。
何度も木道を通りつつ、この道を進んだことが無くて、ようやく足を踏み入れた。
見る人次第で、森が恐ろしく見えたり、手招きしているように見えたりと感じそうな、吸い込まれるような登山道の入り口です。
一步踏み入れて森の中へ、そして石段の山道に変わって行きます。
雨水を合わせた豊富な沢水と、登山道からも水流が沢のように流れている。
しっとり豊かな、岳沢の森の美しい自然。
雨模様の森は、緑が活き活きと潤って隅々まで艶めく。
登山道入り口から、10より順に付けられているカウント。
輪切りで手作りの数字が可愛らしくて、いちいち撮影してしまった。
個人的に好きな数字の「8」でーすw
岳沢トレイルの7番目には、風穴があります。
岳沢の名所、天然クーラーだってw
ナンバー6の見晴台からは、梓川とほとりのホテルが見えました。
しかし、上を見上げれば…
上がるにつれて雲の中に突入していく様なんですけど(^_^;
ナンバー3は石階段。
秋の匂いがし始めた、花々が囲む石の階段を上がっていきます。
ナンバー2の胸突八丁からは、数字に胸がドキドキなアレンジ通りに、最後の厳しい登り道。
パラパラと雨も来始めて、雨具をとても久しぶりに身につけます。
短い登りの時間だったけれど、ナンバー1の小屋見峠から、ちらっと見えた小屋の茶色い影がうれしくて、今日の目的地に着いたんだって、一安心。
岳沢小屋に到着です!
小屋のテラスからは上高地を見下ろしつつ、囲む山々が見えるはずなのですが、雲の中。
テントの受付をして、小屋を少々見回します。
あぁ、晴れた夕方のテラスでビールを飲みたかったなぁ…(T_T)
岳沢のテン場は小屋から離れていて、枯れた沢の岩場を横切って対岸にあります。
小さな雪渓が残っていて、アルプスっぽいです(*⌒▽⌒*)
そしてテントの設営は、
岳沢の谷から上高地を見下ろす高台のテント場!
よりによって、設営時に大雨に降られてしまいましたが、良い感じに設営。
インナーテント内に雨水が浸水して、ちょっと大変でした(^_^;
けれど、雨でもテントは本当に良いです…。
oxtos(オクトス) アルパインライトテント 2人用 OX-084 価格:29,700円 |
明日の好天を思いながら、おやすみなさい…zzz
2日目☆〜岳沢小屋から前穗高岳と奥穗高岳を経て涸沢ヒュッテのテント場〜
おはようございます。
晴れの願いが叶った、美しい上高地の朝焼け…。
焼岳と乗鞍岳が燃えています。
そして、登り始めた岳沢小屋から上の道は、すばらしいお花畑の道!!(≧∀≦)
朝の登りはじめ。
ウォーミングアップ時のしんどい身体に花々が優しくて、気持ちが上がるスタートになりました。
お花畑に癒やされつつも、やっぱりキツくなっていく登り道に、長いはしごが掛かっています。
目が回りそうな場所の長いはしご。
下は見ないぞ!(O_O)
そして、手足4輪駆動で岩場の急登を這い上がります。
突き出たカモシカの立場からは、朝の青い乗鞍岳が美しく覗いている。
そして見上げれば、ますます聳えるような穗高の稜線が、空の青を切り取っている。
凄い圧迫感。あれを超えて歩いて行くのか…。
道端に実った野苺を頬張って、山の一部を身体に取り込んで。
うん、頑張るぞw
ぐんぐん手足で、空へ向かって上がって行く。
一度開けた眺望の世界は、まさにパノラマの道です。
同じ道を辿っていくハイカー達の後ろ姿が、道の先へ点々と続いている。
そして横には、いつの間にか同じ目線になった西穗高岳と、見下ろす焼岳。
木製階段の先、針山みたいにトゲトゲと見えるのは前穗高岳だろうか?
なんだか、まだまだ遠くない(^_^;?
その前穗高岳に続く北尾根に見えるのは、手前の一番凹んだ5・6のコルから6峰、7峰、8峰…。
続く山肌の腹から、凄すぎる岩山の怪物さん達が並んでいる。
雷鳥広場から仰ぐ、ひたすら空への道を見て、もう自分自身が巨大な岩山に飲み込まれてしまったのだと思う。
ようやくに、紀美子平へと到着しました。
大勢の人たちが、休憩と前穗高岳へのアタック準備をしています。
大きな荷物はこの紀美子平にデポして、ピークへ向かうのです。
岩の隙間にハイカー達が点々とカモシカのように立っているピークへの道。
そして、カモシカ達はピークへ立つ。
圧巻の山頂。
まわりの山々が居並んで、君主穗高岳にひれ伏している様に見えてしまう。
隣に並び立つ奥穗高岳は悠然と、くつろいでいるみたいです。
見下ろす世界は鳥の視点よりも高く、上空から撮る航空写真のようで、とんでもなく高い場所に身を晒してるって、恐ろしくなるくらい…。
そして別世界には、遠く遠く、青い富士山が見える。
紀美子平へ戻り食事休憩。
山の食事は行動次第でお腹次第ですw
そして、いよいよ北アルプスの最高峰へ向かって歩き始めます。
しかし、なんて場所に道が延びているんだろう。
空中に切れ目を入れたようなトラバース、一本の水平歩道。
奥穗高岳へ向かう登山道の横には、西穗高岳のピークから緑の舞台幕を下ろしたみたい。
最低コルに乗り上げたのでしょうか。
振り返れば前穗高岳から4峰、5峰、6峰…。わぁ、5・6のコルを見下ろしてるw
滑り落ちるような斜度から涸沢カールを足元に見下ろす。
カールの底に、今日の幕営地予定な涸沢ヒュッテとテント場が見えます。
真横に見える5・6のコルを見て、春の残雪期にあのテント場から5・6のコルへ散歩に行った事を思い出して、ちょっぴり感無量。
足元の道は厳しいけれど、ちゃんと花咲く道…。
イワギキョウ
トウヤクリンドウ
白いトウヤクリンドウは日が当たると花が咲き、陰れば閉じる。
凄く親近感を持ってしまうなぁ(^_^;
さぁて、ココからだよ。
奥穗高岳山頂への道は更に険しく盛り上がるヨ。
まるで、GODZILLAのシッポから、背中を伝ってアタマへ向かっているみたい。
シッポの上高地から
GODZILLAの背中に乗った。
誰もが振り落ちないよう、必死に取り付いて進む。
誰かが張ってくれた鎖と、自身の手足を頼りに進む。
南陵の頭に着きました。
もう、あと少しが罰ゲームみたいだけれど、あと少し!
って、どれがピークよ?(^_^;
GODZILLAの背中をよじり登った天辺には、あれ?他にもGODZILLAの背中が見えるよw
ジャンダルムって、奥穗高からこんなに近いのね(^_^;
でも、どのエリアだって、どの山だって、必ず帰れるっていう個々の技量が無ければ、歩くには遠く厳しい場所。(呪文?w)
ま。
兎にも角にも、天辺だ!
槍ヶ岳を挟んで、表銀座と裏銀座な眺めって、すごーいw(^_^;
奥穗高岳神社は、新しいお社。
奥穗高神社嶺宮(みねみや)は2014年7月にヘリコプターで運ばれたそうです。
元々は穗高岳山荘を開いた今田重太郎氏が設置した祠がありましたが、信仰の対象である山頂を公共の場所としたいとの後継者の思いによって新たに祠が設置されたとの事。
今回歩いて来た岳沢への道を作って、安全な登山道整備に貢献した今田重太郎氏。
過去も未来も、どんな道だって本来、造るのは人の為。
なんとも、あり得ない場所の、合成写真みたいな道標でしょうw
でも、山々の道はどこまでもどこまでも続いているのです。
ここから、穗高岳山荘への道を歩きます。
コルには、まるで要塞のような穗高岳山荘と、そこから一見歩きやすそーな涸沢岳への道が延びているけれど、実際に歩いたことが無いから分からない未知の道。
この山荘直下のルートも、油断禁物。単なる崖〜(^_^;
穗高岳山荘へと到着しました。
翌日の天候が悪くないなら時間的にもここで刻むのがベターだけど、明日は午前中から崩れていく予報なので涸沢へ詰めます。
初めて歩くザイデングラードを下って、ちょっぴり馴染みの涸沢ヒュッテへ向かいます。
5回目くらい?w
見えるからって、下にあるからって、決して近いわけじゃ無いんだよ〜!って、これから思い知る2時間の道(^_^;
カールに降り立てば、横には前穗高岳から2.3.4.5、コル、6.7…峰
美しいだまし絵の中に入り込んだみたい。
ガレ場の道が終わるのをひたすら待ちながら、下に見える一本道を見つめる。
ナスカの地上絵みたいな一本の線。
涸沢小屋経由で、ようやくテン場に到着しました。
穗高から見下ろした時よりも、結構な数のテントが増えている。
テントの受付をして、5時まで食事注文が取れるテラスの売店で、先に食事をしちゃいます。
うーん!最高のご褒美(≧∀≦)
涸沢の生ビールとおでんは無くてはならない!
牛丼が空いたお腹にドンって入って幸せ〜!
久ぶりの涸沢カールの懐に宿を構えます。春は雪、夏は岩のカーペット。
夕暮れ時の涸沢のテント場は、お祭りの様に色とりどり。
沢山の人が、それぞれに日没を迎え、柔らかい表情を見せる。
テントを囲む山々のシルエットが美しくて、少しにぎやかな日没の時を、
穏やかに幸せに味わう時間…。
三日目☆〜涸沢ヒュッテから奥上高地自然探勝路にて上高地BT〜
おはようございます。もやぁ〜ん…としつつも、良い感じな朝がきました(≧∀≦)
午前中から雨が来る予報を匂わせる朝の空。
サッサと下山するため、ササッとテントを撤収です。
ザックを背負ってテラス売店へ、丁度オープンした涸沢ヒュッテで朝コーヒーです。
涸沢の清水で淹れる山のモーニングコーヒーは、香りよく美味しく、特別な味わい。
朝6時過ぎの涸沢ヒュッテは、少し慌ただしい雰囲気です。
皆さん雨に備える装備を済ませて、それぞれの目的地へ向かう準備。
どんどんとドンヨリしていく雲の色…(^_^;
出立してすぐにパノラマコースへの分岐があります。
計画を立てる段階で、パノラマコースを歩こうと考えていましたが、調べたところ通行止めでした。またいつかの年に通行出来る時があれば、歩いてみたい道。
そして、久しぶりに歩く横尾への下山道。
Sガレは落石注意な場所だけれど、こんなに水平に歩きやすい石畳だったかなぁ?
なんて、記憶と合わせながら楽しい下山です。
石畳の先には横尾本谷の沢筋が見えます。
あの沢からまた水が出合って集まり、梓川へ向かっていく。
出会って豪快な流れとなった迫力の沢水を眼下に、本谷橋を渡ります。
屏風岩を仰ぎ見て、やっぱりあの上を通って下って来たかったなぁって思う。
そして横尾大橋を渡ったら、山の世界にお別れだねって、いつも感じる。
また来るヨ!
梓川の川岸はすっかり河川敷の工事が入っています。
パノラマコースを歩いてきたなら渡ることになった、新村橋です。
この橋は、今回の梓川河川工事で掛け替えになる事に。
工事内容の告知看板に、令和9年までの工事期間中、掛け変わる前に通ることがあれば良いなって思う。
ここからは飢えた野獣となって、飲食ロードとなる上高地バス停までのぶらり旅w
先ずは徳沢園に着きましたヨ!
ふぅぉー…(☆。☆) 天国ですか?
でも徳沢園っていえば、やっぱりソフトクリームですね!(≧∀≦)
下山したご褒美の美味しいトロフィーみたい
ぽくぽくと奥上高地自然探勝路を進む。
梓川本来の流れ方の網状流路。
それは、この広い川幅の中に、いくつもの川筋がシンクロしながらサラサラと流れていくのかしら? 見てみたい…。
予報通りの雨が来ました。
すっかり雨に煙る明神橋を渡り嘉門次小屋へ、お目当ての岩魚を食べに寄ります。
川床のような、清流の上の席で炉端焼きの岩魚を頂ける茶屋です。
そして、お隣にある穗高神社の奥宮へ、今回の山行が無事に終わったお礼参りをします。
ん? あれ、岩魚より先に行くやつだっけ?w
最後に。三日前に岳沢へ、憧れていた穗高へと進んだ、この分岐へ帰ってきました。
楽しかったね。
私の穗高妄想の旅もようやく落ち着きそうw。
今回の行程
旅の行間は、実はすごく沢山詰まっていて、溢れるくらいの一瞬たちを取り出してしまったら、最初の一步からもう一度、全てを再生することになるのだと思う。
それほどに、山の中で過ごす一秒間と歩む一步は何気ないのに、めちゃくちゃに濃い。
私の歩く一步と、同時刻に同じエリアを歩く人の一步は、それぞれの一步で、その人達もきっと、めちゃくちゃに濃い瞬間を過ごしている。
山を共有できる瞬間を過ごしている。
北アルプスの顔みたいな、穗高岳と涸沢のコラボレーションは、ちょっと派手なイメージで、いつでも行けるなんて思っていたけれど、気付けば
「え?穗高岳へ行ってないの?」的な、スタンスになっていた。
あーしたい、こう歩きたいって、プランばかりは何度も繰り返し、壮大な計画(妄想)になってしまったこともあるw
そんな中で、結局はこんな風に歩きたいって自分の中で決めていたルートを歩く。
あんまり、分からなく初見で選んだルートよりも、
長年焦がして寝かせて熟成させたようなルートを実際に歩く事が、特別だって気付けたら、凄く得をした気持ちになった。
そんな山は、あといくつあるのかな?
うん。まだまだありそう。