空木岳から南駒ヶ岳への稜線
稜線を歩く。
稜線を歩きたくて、山へ行く。
夏の王道は他のどこでも無い、この前に続く一本の道だけ。
中央アルプスの南側、点と点を繋ぐ線を少しだけ歩いてきました。
mataTabi 2022年7月
行き先は空木岳と南駒ヶ岳
1日目☆〜古城公園駐車スペースから池山ヒュッテへ〜
久しぶりの中ア。
今シーズン初の縦走です。
池山小屋経由にて空木岳と南駒ヶ岳を2泊でのんびり歩きます。
1日目の宿泊地となる池山小屋へは距離も短いので、お昼過ぎからのスタート。
こんな調子で、終始のんびり…。
スタートは林道古城線の途中にある、古城公園手前の駐車スペース。
駒ヶ根高原スキー場の上段駐車場からの登りではなく、身体を慣らしつつ林道歩きを選びました(^_^;
やる気は一応ありますとも!w
駐車スペースからほんの少し歩いた場所に、銀ぴかな三角形が現れました。
古城(ふるじょう)公園のあかつきの塔です。
市街地を見下ろす眺望が良い展望台です。
展望台を囲む金網には、恋人達が愛を誓う錠前の儀式跡がいっぱい…(^_^;
心に鍵をかけちゃうのかな?w
そして展望台を先に進めば、すぐに林道のゲートです。
この先は森林整備等の作業車以外の、一般車は通れません。
古い林道だけあって、なかなか趣ある道です。
途中には草庵跡の碑と古びた摩利支天が御座されています。
続いて駒ヶ根高原水力発電所という施設があって、
ここまでが人里との境目でしょうか。
空木岳登山道の取付地点です。ここまで45分!どんだけゆっくりよね(笑)
あ、やる気は一応ありますとも!(1日目以外はきっとw)
やっぱり山道は林道より楽しいですよね(^_^;
途中で、三本杉を背負った三本地蔵さまが微笑んで見守ってくれました。
林道終点に出ました。
本当にここからが、林道とは絡まない空木岳への登山道の始まりです。
15台ほど駐車できるスペースと展望の良い東屋が忘れられた様にさみしげ。
林道終点の駐車場は、コロナ禍以前まで一般も使用できていましたが、現在は山の関係者さん達専用です。
ここまで車でアクセス出来たら、空木への日帰りもしやすいのですが、またいつか通れる様になると良いですね。
東屋からの眺望。街へ行ってきます!と手を振ります。
池山小屋への森はすぐに夕刻へと変わって行く様子。
潤った空気中の水分と光の栄養だけで生きる植物。
たくさんのサルオガセが樹木達に絡んで垂れているのは、森の空気が美しい証しです。
そして、赤いお屋根の池山小屋に到着ですよ!
到着時刻は18時手前でしたが、この日の小屋は満員御礼な様子です(^_^;
まぁ、夏休みの週末ですからね。
でも、ここまでの道のりだもん!
夕食はテイクアウトのお弁当でお手軽&豪華〜(≧∀≦)
うなうなぎゅーぎゅー(≧∀≦)!で幸せ&おやすみなさい…zzz
二日目☆〜池山小屋から空木岳と南駒ヶ岳を巡り、駒峰ヒュッテへ〜
おはようございます。
5時前には誰も居なくなった、朝の池山小屋です(^_^;
満員だった小屋の皆さんは、ここから日帰りで空木へ行かれるのかな。
こちらは山頂でもう一泊なので、のんびり最後に出立です。
さあ、朝の森のお顔はどんなかしら。
池山小屋からマセナギまでは朝の森を満喫です。
こんなティラノサウルスみたいなコも発見w
マセナギを過ぎて、空木岳への主稜線に入ると傾斜も強くなり始め。
いよいよ5時間の登り応えある道です。
ヤセ尾根の注意看板からは、大地獄と小地獄って怖い名前の付いたエリアも通ります。
どんどんとアスレッチックなフィールドになってきて、細い橋とか巨石の隙間を縫う道とか。
よく、この間に道を見つけて通したものです。
朝の雲海の上に南アルプスが覗いている。
ヤセ尾根を集中をして歩くけど、木々の隙間の景色に、いつの間にか高い場所に入っているって気付く。
オニユリのオレンジやシモツケのピンク。
綺麗な花たちが緑の中で鮮やか冴えている。
しゃくなげが、全員でこっちを見て、話しかけてくるみたいw
急登なシーンでは、足元の緑と木々と青空が一度に視界に入って面白い。
ヨナ沢の頭を過ぎれば、まだまだ樹林帯ではあるけれど、もう一息!って頑張ろう。
キスゲの蕾みの先に、ようやく空木平避難小屋との分岐にたどり着きます。
少し休憩をして、駒石のルートへ進み…
そして、ついに、ようやくw!(^0^;)
ハイマツの向こうに、空木岳の山頂が現れました!!(≧∀≦)
閉鎖されているような長い樹林の尾根道を、ひたすら歩いてきたせいか?
とんでもなく開放感のある景色が、目に飛び込んできたように感じます。
ていうか、いきなり開かれた世界に放り出されてしまったみたい…。
北側には、併走して延びてた檜尾尾根から宝剣への稜線が、同じくらいの目線の先に延びています。
大きな駒石。立派な自然のモニュメントの上の、人の姿で大きさが分かりますね。
駒石を過ぎれば、もう空木岳の山頂はロックオンな位置に。
すぐに駒峰ヒュッテか見えてきました。
本日のお宿ですが、まだ時間も早いせいか、管理人も不在な様子(^_^;
南駒ヶ岳へ行く間、お荷物をデポさせて貰うため、失礼して小屋の中へ。
こぢんまりとしているけど、綺麗に管理がされている小屋です。
二人スペース毎にビニールのカーテンで仕切られて、感染対策されています。
テラスからは目の前に空木岳。
ランチ休憩をして。さあ!午後は空木岳と南駒ヶ岳へ出発です!
めっちゃ、小屋からすぐに空木岳の山頂へ着いてしまいます。
小屋から山頂へは、ご近所な散歩コースですねw…、羨ましい。
空木岳へは初登頂ですが、気持ちはもうすでに南駒ヶ岳へ向かってしまっています(^_^;
なぜなら、この空木岳山頂からの南駒ヶ岳への道が、素晴らしすぎる眺め…!
サクッと空木岳の山頂を後にして、この道へと導かれて行ってしまいました。
やったよ!この夏の始めての、アルプスの稜線だよ〜(≧∀≦)!
夏が来たよ〜!!
振り返った空木岳の山頂には、人の姿が点になっている。
ピークも良いけど、見えてしまった美しい美しい道を辿って、その先へ行こう!
道の途中には、登りの尾根道では見られなかった高山の花々。
高みに咲く夏の黄色。元気いっぱいのウサギギク。
下界で見るヒマワリやマリーゴールドみたいに元気が出る!
高山植物のコラボは花たちのご縁で成り立つのかな?
イワツメグサとイワギキョウと仲良く一緒に咲いてコラボってる。
空木岳はもう背中の向こうへ無くなっていく。
浮かんでは消える眺望と、ガスが乗っかりきれない足元の道。
そんなタイミングで赤椰岳に着いたみたいです。
こんなスプレーで落書きみたいな…(^_^;
街中だったらNGなのに、こんな山のこんな場所では、とても目立ってくれる指標。
あんなに美しい稜線の道だったのに、雲の中の道になってしまった…。
摺鉢窪の避難小屋分岐。なんも見えない…(^_^;
南駒ヶ岳まで、もうちょっとなんだろう?って違っていたを数回。
山頂だけが浮かぶ南駒ヶ岳に到着です。
まわり真っ白じゃ〜ん(^_^;
眺望が無いから、山頂標と絡むしかないっ…(^_^;
途中で会ったトレランの方に、コスモまで行きますか?なんて聞かれたけれど、とんでもない(汗)
そう答えつつ、もし眺望が効いて先の道が見えてしまったら、きっと駆られちゃうかもしれないですね。
さて、戻ります。
そして、雲は動き始めて、ガス一色だった赤椰岳がヴェールの中に。
多分、日中に上がりきった雲たちが、夕方に向かって引いていく時間になったのでしょうね。
振り返ると、こちらもスッキリした南駒ヶ岳への道。
へぇ〜!こんな道を歩いていたんだ(゚o゚; …って岩山じゃん。
そして、摺鉢窪避難小屋から、駒ヶ根の街が一望に見える!!
小屋が、絵本のページの中に描かれているみたい。
すっきりしたお姿の赤椰岳。行きでは見えなかった道!
至福の時間です…。
すっかり夕映えの稜線から開かれて、雲の彼方の不思議な世界が見える。
南アルプス縦列一直線な眺め。
塩見岳の後ろから覗くのは、富士山のアタマ…(≧∀≦)
そして、
足元には、夕映えに美しいコマウスユキソウ…。
咲いててくれて、ありがとう…。
空木岳へと帰ってきました。
行きとは違って、無人の空木岳。
雲に呑まれるように、御嶽山が波に揉まれている。
今夜の宿の駒峰ヒュッテを見下ろし、宿へと帰ります。
駒峰ヒュッテは、自炊の山小屋です。みなさん、広い自炊室でお食事かな?なんて思っていたら、自炊室は空っぽ。
どうやら、夕陽を見に空木岳の山頂へ行っているようです。
さっき降りて来たばっかりなので、私は静かな小屋からの夕陽を楽しむことにします。
食事を終えて、ほろ酔いなワイン片手にテラスへ出ます。
ショータイムが始まりました。
美しい山の日没…。
御嶽山を囲む雲の波も落ち着き、凪いだ雲海に沈みゆく太陽。
木曽駒への稜線の先には、宝剣岳がトンガってる。
山々を照らす優しいサンセット。
山も、人の表情も、
駒峰ヒュッテの軒先にある、石の道標も夕映えに浮かんで可愛らしい。
御嶽へ沈みゆく太陽。
陽が沈めば、太陽の残り火と街の灯が、目にやさしく夜を呼び込みます。
おやすみなさい…zzz
三日目☆〜駒峰ヒュッテから古城公園駐車スペースへ〜
おはようございます!
今朝も横着をして、小屋からのご来光を楽しんでから、のんびりと下山開始予定。
もちろん、殆どの人は山頂へご来光を見に行っている様子で、やっぱり静かな小屋のテラスです(^_^;
東の空では、暗い青が変わりはじめて、透明になってきました。
太陽が、空と雲をキャンバスにする瞬間。
空も、並んでいる南アルプスの山々も、私の身体も、全てまとめて陽を浴びる一瞬。
隣に居る空木岳も照らされて、赤空木になってる。
出発時間には、すっかり夏空の青い空(雲多め)。
朝の御嶽山は爽やかなお姿で、山肌の緑色も分かるほど朝の日にクッキリ照らされています。
見上げる、空木岳にお別れを言います。
いつか来たいと思って、やっと来られた空木岳のピーク。
でも今回の自分には、ただの点だったよ(^_^;
そして、分かったこと。
やっぱり、私はこの道を歩いて空木岳へ来たかったんだってこと。
あっちへ行きたいって、足かけちゃう?
今年から檜尾小屋も有人の小屋になって、テント場も出来たから、いつかまたこの道を歩いて空木岳へ来たいな。
下山開始です。
太陽は昇りながら強く照らして、もう紫外線が降り注ぐのが見える気がします(^_^;
樹林帯に入る最後に、檜尾小屋と宝剣岳を眺めてから高い居場所にお別れ。
一昨日、登り道で蕾だったキスゲが美しく花開いていました(≧∀≦)
そして、下山時も更に集中して、またこのヤセ尾根を下ります。
登り道では荷物も食料分が重いし、登りだし撮影しなかった鎖場。
ふんばってますw
そして、池山小屋に戻ってきました。
持ち帰るためにデポしてあった、不要な荷物を回収します。
こんな散策マップが小屋の横にあったのに、ちゃんと見ていなかった(^_^;
とても作り込んであって、オブジェみたいに壁に飾れそうに可愛い看板です。
豊富な湧き水をお土産用に、少し汲んでいきます。
おうちでご飯炊くと美味しいの(*^o^*)
ついでに足を全体を湧き水で冷やして、筋肉疲労対策です。
冷たい湧き水が火照った筋肉を冷やして、筋肉痛を防ぐ効果アリ!
良ければお試し下さいw
池山の森にお別れをして、林道終点へ。
どんどん標高を下げると、ぐんぐん上がる気温。
スタート地点へと、無事に帰りました。 あー、暑かったぁ〜!!(^0^;)
【今回の行程地図】
空木岳を目指すのに利用しやすい、池山ルート。
駐車スペースのある古城公園から空木山頂までは1800mくらいの登りです。
でも、その殆どは樹林の森で、森をひたすら上がっていく登山らしい道って感じ。
山が深いのは、たどり着くまでの森が深いから。
険しい山のイメージは森の深さに比例するのかもしれない。
特にこの道は、長い森を抜け出た瞬間の、突然に開ける山頂の景色が、あまりにドラマチックだったと思う。
そして、開かれた山頂世界の先を見やれば、そこには更に美しい道が向こうへと開かれている。
その美しい稜線は、空木岳までの賑やかな道と違って、ぱったり人が絶える。
好きなモノ。好きな瞬間を独り占めする。
そんな、自分勝手な特別感も何だか心地よくて、この時にこの美しい道を歩けたことに幸せを思う。
山頂が点なら、道は線。
点と線の、喜びの違いはあるけれど、今回の旅で改めて知ったのは、自分はやっぱり歩く道が好きだという事。
線に思いを馳せて歩き、その先には点が待っているってこと。