経ヶ岳〜北沢山からコイノコの道
経ヶ岳は中央アルプスの北端にある、日本200名山のお山です。
標高は2,296mで、経の字が付く山では日本最高峰とウィッキーさんに記載ありましたww。
アクセスは、2006年に開通した権兵衛峠道路のおかげで、以前は冬期封鎖があり、夏季のみ1時間30分かかっていた伊奈谷〜木曽谷を通る権兵衛街道が、季節を問わず30分で往来可能になりました。
その権兵衛峠道路の大半を占める権兵衛トンネルは木曽山脈を貫いて結ぶ4,467mのトンネルで、木曽側のトンネル口から権兵衛街道を進むと、近年新たに整備された経ヶ岳の登山口へ行くことが出来ます。
伊奈インターからは概ね30分ほどでアクセス出来る権兵衛峠の登山口です。
まだあまり知られていない、最短距離で経ヶ岳を往復出来る新しい道。
どんな道なのか、歩いてきました(≧∀≦)!!
mataTabi 2023年7月
行き先は 経ヶ岳。
もくじ ・権兵衛峠の登山口 ・登山口から松ノ木平 ・松ノ木平から驚きの北沢山 ・北沢山と喜びの道 ・アヤメ山からコイノコ ・コイノコからは岩混じりの尾根道 ・雲の中の山頂 ・立寄り湯は木曽の代山温泉
権兵衛峠の登山口
経ヶ岳登山口のある、朝の権兵衛峠展望台です。
梅雨なのですが、この日は午後に向かって天気が回復をしていく予報。
権兵衛峠には、広い駐車場と古いトイレと伊奈方面を見下ろす古いベンチがあります。
展望台と言っても、ずっと以前に開かれた様子の時代を感じるスポット。
伐採されて間もない木材が山積みされて、木の香りが強く香ります。
この先の街道はゲートが封鎖されていて、通行はここまで。
権兵衛峠登山口の登山道ガイドが立てられています。
この登山道は令和元年に復活をしたと書かれています。その以前にも古くに歩かれた道だったのですね。
丁寧に権兵衛ルートの道の特徴が書かれている看板の横には、ササユリの採取を禁じる貼り紙。
高山植物の採取をしてしまう心ない人間がいることが残念でなりません。
さぁ、スタートです。のんびりと行きましょう。
登山口から松ノ木平
穏やかな歩きやすい広い尾根道で、気持ちの良い歩き始め。徐々に身体が慣らされていきます。
登山口から10分で、里見平と名付けられた展望地があり伊奈谷を見下ろせます。
天候は徐々に回復していってる感じで嬉しい。
道が気持ちよくて、穏やかな登りが続いているように感じながら歩いてきたけれど、登山道の横に作られている林業用のレールが、道の斜度を分かりやすく教えてくれました(^_^;
とても長く続くレールで、あの登山口に積んであった木材を運ぶのでしょうか?どう使われているのか見てみたいなぁ。
もうすぐで松ノ木平につく辺りに、この下は権兵衛トンネルと書かれた標識がありました。
アクセスで通過して来たトンネルが自分の足元下にあるって何だか面白い。
松ノ木平に立つアンテナ塔です。
新しくて立派ですね!レールはこの建物で終点でした。
松ノ木平は開けていて、ベンチのある小さな広場からは経ヶ岳がを見上げることが出来ます。
残念ながら、経ヶ岳の山頂は雲に隠れていて見えませんでしたが、シロツメクサやノアザミが咲いて、ゆっくり休憩が出来るポイントです。
松ノ木平から驚きの北沢山
ここからは、更に穏やかな尾根の森を歩いて行きます。
森の木々の隙間を縫う様に、たおやかな道。
ゾクゾク、ワクワクする道が山の中に続いています。
すると目立つ様に柵に囲われて、ササユリが一輪!
ここまで歩いてくる道々で、ピンクテープが巻かれた不思議なポールがあちこちに立っていましたが、それはササユリなどの希少植物の目印でした。
熊笹の葉に似たササユリの葉は、目印が無いと、登山道整備の時に間違えて刈ってしまう危険があるし、前年にどこに生息していたかの目印にもなるからでしょうか。
ハイカーが歩きやすい様に、しっかりと刈られて整備された登山道。
目印は、素人目に判らない様な場所にも何本も刺さっていて、携わる機関の方の地道な保護に頭が下がります。
ササユリの他にも、森には多彩な植物が息づいてます。
道中では、ずっとウグイスの可愛らしい鳴き声がBGMに耳に心地よく、梅雨空の森がなんと豊かな場所なんだろうと感じます。
登山道が出来て間もないことが、道の所々で感じられるのが、名称の付いたポイントの設置。
昔からある登山道にも、なんでこの名前?ってあるけれど、楽しんでホッコリして、一息つけますね。
北沢山の手前、眺望がぱあっと開きます。
雲空が昼へ向けて動き始めている、まだ朝の世界。
アヤメ・ササユリ保護の立て看板にも新しいですね。
手前には、ササユリ保護の鹿柵を設置していく貼り紙と、その準備がされていました。
残念ですが、次年度からは柵越しにしかササユリを見られないのかもしれませんね・・・。
北沢山と喜びの道
貼り紙、注意看板を過ぎた瞬間に抜け出た場所は、驚きの場所!
北沢山の山頂は花園(≧∀≦)!!
思わず感動の歓声を上げて、この美しい頂の一部に立った喜びに震えます。
この北沢山からコイノコまでは、満開のササユリとたくさんの花々に彩られた、美しい道が続きます。
こんなに素晴らしいなんて・・・
ただただ、言葉を失って感動に身を任せます。
北沢山の山頂は、登山道に沿って木のベンチがいくつか設置されていて、天気が良ければ、遠く南アルプスの眺望と花畑を楽しめる、まさに天国なのでしょう!
でも諦めていた眺望も、うっすらと開いてくれて、遠く▲の塩見岳が見えました!(≧∀≦)
夢中で写真を撮ったら、ようやく落ち着いてのんびりと休憩。
北沢山からコイノコまでの道が、今回の経ヶ岳山行の目玉であることに間違いないでしょう!
北沢山のピークからコイノコまでの道。
穏やかな尾根道の途中から、再びのササユリの花道が現れます!
ほら、木々の向こうに小さなピンク色・・・(≧∀≦)
登山道沿い、道にはロープが張られていますが、溢れんばかりのササユリの群生地です!
この先の傾斜道。
左右にはササユリを中心に、アヤメや可愛らしい花々が迎えてくれる極上の山道を歩いて行きます。
アヤメ山からコイノコ
地図にはない小ピークが北沢山とコイノコの間にあって、アヤメ山と名付けられています。
名付け通り、このピークはもう少し早く訪れたらば、見事にアヤメが咲いていたのだろうと想像できました。
残ってくれていたアヤメとササユリのコラボを楽しめて、ラッキー(≧∀≦)!
ここまで美しい花の山であったことに、嬉しいサプライズです!
穏やかに伸びる尾根道と花と眺望を楽しめる極上な登山道。
登山口からは大変な道も無く、比較的お手軽に満喫できる、花園のある山ですね!(≧∀≦)
アヤメ山を過ぎてしまうと、お花はパッタリ無くなっていきます。
でも、この花道が続いていたら、時間ばかり取られてしまって、とても山頂まではたどり着けない気もしますね・・・(^_^;
コイノコからは岩混じりの尾根道
コイノコを過ぎると、尾根道は細く岩が多く混ざってきます。
天気も回復傾向だったのですが、経ヶ岳の山頂に張り付いている重たい雲は、どうやらまだ居座るつもりみたい(^_^;
湿度が雨漏りの限界値、スレスレの森。
たっぷりと潤いを浴びて瑞々しい苔や、全開のゴゼンタチバナが可愛らしいです。
道が狭くなって来ていたので、岩場経由の道には不安な部分もありましたが、岩場経由を歩くなら行きにして帰りは迂回にしました。
途中に、御嶽、乗鞍、槍穂の展望地がありましたが、もちろん心の目で見ようとしても見えませんでしたよ‥(^_^;
中央分水嶺の標識がありました。日本中央分水嶺は山歩きをしているとよく遭遇しますが、この経ヶ岳からも日本海と太平洋と雨水が分かれてそれぞれの海へと向かうのですね。
空はますます雲に突入して眺望もありませんが、もうあと500メートルで山頂の道標です。
あと少し!
雲の中の山頂
ガスに覆われた森の道を抜けると、やっぱりガスに覆われている経ヶ岳の山頂に出ました。
誰もいない山頂は、晴れていたらきっと清々しくて眺望も素晴らしい広場なのでしょうが、本日は曇天。
ガスの中に浮かび上がる少し寂しげな景観も、歩いてたどり着いた自分には、とても美しく映え浮かび上がって見えます。
山頂には古くて文字すら見えなくなった石柱と、風雨に晒されてお顔が判らなくなった石仏が立っています。
ガスに覆われた山頂は、静かに人知れずある場所のようでした。
戻りの道。
お天気の回復予報は叶わなかったけれど、まるでページをめくる様に移り変わる情景が、歩く先にあった経ヶ岳。
眺望は無い分、山にだけ向きあって歩きました。
おかげで植生のことも、ササユリを守るために有志で関わっている人達のことも気付けました。
それから自身の中にあるいろんな感覚も、山頂へと続く一本の道の中で思い起こさせてくれました。
今年、この山に来られて良かったと思うのは、きっと来年には柵網で囲われたササユリだったら同じササユリの花園だけど、やっぱりこんなにも素晴らしいと感動が出来なかったでしょう。
勝手ながら、今年に間に合って良かったなぁ。
新しい登山道で山頂へ届きやすくなった経ヶ岳。
きっと、このササユリの山は、すぐにも人に知れていき、権兵衛登山口には大勢のハイカーもやって来る様になるでしょう。
立寄り湯は木曽の代山温泉
楽しい山歩きの後には、土地の温泉でさっぱりして疲労回復ですね!
今回は、木曽の代山温泉せせらぎの四季(とき)という日帰りの天然温泉に立ち寄りました。
権兵衛峠登山口から国道19号線へ出て、南に30分ほど。飛騨街道西野通りと黒川の間にある温泉施設です。
道と川に挟まれた土地なので、横に長い建物と、長い駐車場。バイクツーリングやドライブ、家族連れや、登山帰りのハイカーで賑わっていました。
木曽に湧き出る温泉は、25度以下の冷鉱泉が多くありますが、この山代温泉も冷鉱泉ですね。12.9度で湧き出る鉱泉が程よい温度に加温されています。
泉質は「含二酸化炭素−ナトリウム・カルシウム−塩化物・炭酸水素塩冷鉱泉」
赤褐色の炭酸水素イオン成分は、血行促進効果があって、ハイキングで疲れた筋肉を柔らかくほぐしてくれます。
ぬるめに設定された露天風呂は、のんびりと入浴できて、とても気持ちの良い温泉でした(≧∀≦)
温泉上がりのグルメは、この施設にあるレストラン「ししこま」で、長崎県のアジを使ったあじフライを頂いて、大満足な一日となりました!(*⌒▽⌒*)