朝の竜門避難小屋から天狗角力取山への尾根
はじめましての朝日連峰。
色と光のつぶてが飛び交う秋の山々を、鳥が渡るように歩きます。
抜けるように広がるみちのくの空に、とても近い縦走路を味わう旅です。
2023年10月中頃 行き先は大朝日岳
✿もくじ✿
●DAY1〜南俣沢出合登山口ー天狗角力取避難小屋
☆カラマツ林から実りの秋を迎えた森をスタート
☆雨量観測所へ出れば赤黄色の山肌
☆しずかな天狗角力取山避難小屋?
●DAY2〜天狗角力取避難小屋−三方境−竜門避難小屋
☆快晴の朝!長い主稜線への道
☆特上の竜門避難小屋
●DAY3〜竜門避難小屋ー朝日岳ー古寺鉱泉登山口
☆竜門小屋からワクワクの大朝日岳へ
☆朝日岳ピークから極錦な小朝日
☆柔らかな古寺鉱泉への下山道
●day1〜南俣沢出合登山口ー天狗角力取避難小屋
☆カラマツ林から実りの秋を迎えた森をスタート
ゆっくり出発の南俣沢出合登山口です。
古寺鉱泉へ縦走をするために、古寺鉱泉登山口からタクシーを利用して南俣沢出合登山口までアクセス。
ちなみにタクシー代は6千円ほど。親切な運転手さんでした。
さぁ!朝日連峰はじめての山域です!(≧∀≦)
そして東北の山は、夏に行った飯豊山脈のエブリサシ岳以来。
登山口には年期の入った保全林地域の説明版がありました。
山形県と新潟県にまたがる広大な保護地域ですね!
美しいカラマツ林を、緩やかなウォーミングアップみたいに歩き始めます。
遠く木々の隙間には、月山から続く山並みが見えてきます。
東北の山々の名前や位置関係は、よく分かりませんが左に隠れている月山は分かる(^_^;)
やがて原生林の森へと移っていく道の木々は、ほのかに紅葉を始めた様子。
木々の隙間には、待っていたとばかりに生えるキノコたち。
重く水分を含んだガスに覆われる道中、突然に強めの雨が降り始めました。
頭上の木々の葉をすり抜けて、強くザーッと打ち付ける雨粒に雨具をまといます。
でもすぐに向こうの空に青い色が見え始めたので安堵・・・。
登山道は岩の沢道のようで、竜ヶ岳の”猟師の水場”で一息しつつ雨具を外します。
でもこの雨のおかげで、更に森がキラキラと輝く世界に変わります。
木のトンネルが低くなって、茂みへと変化する所で森を抜け出ます。
何て楽しいカラフルなトンネルだったでしょう(≧∀≦)
登りが緩やかになり、いよいよです!
☆雨量観測所へ出れば赤黄色の山肌
栗畑です(≧∀≦)!!
まあるい、お饅頭のような可愛らしいお山です。
あいにく、お天気は曇り空に戻ってしまいましたが、鈍い光の中にも輝く紅葉樹の色彩は美しい。
なだらかなで広めの尾根には、目立たないように雨量観測所が立てられています。良い場所にあるw
そして、突然に登山道は石畳の道になって、なだらかな山肌を空まで伸びています。
草紅葉に埋もれた美しい石畳の道がとても美しい・・・。
栗畑の山頂まではこの石畳が案内してくれます。
振り返れば、上がってきた竜ヶ岳への尾根が夕陽に照らされています。
おお!遠くに見えるのは、本日の目的地の天狗角力取山避難小屋です。
(≧∀≦)
なんて美しい場所に建つ小屋でしょう。
栗畑山頂に着きました。
南俣沢出合登山口から障子ヶ岳と天狗角力取山の周回ルートもあり、その障子ヶ岳への分岐です。
さ、もうすぐに天狗角力取山避難小屋。
マジックペンで書かれている味ある案内版によると、たぶんビールも冷えているでしょうw
なぜなら、本来この日は小屋番さんは下山して不在予定だったのですが、急な団体さんの利用が分かって、下山途中だった小屋番さんが小屋へ戻ったとの情報を、すれ違った方から聞きました(^_^;)
だから、途中にデポされた不思議な荷物があったんですねぇ。
小屋近くの紅葉は見事に見頃を迎えています。
曇りで残念(T-T)ですが、それでも美しいです!
☆しずかな天狗角力取山避難小屋?
小屋への分岐を下ってすぐに、天狗角力取山避難小屋は建っていました。
避難小屋とは思えない綺麗な建物ですが、ちゃんと二階に冬期用の入口も付いています。
既に、団体さんも他の利用者さんも到着して寛ぎ中。
夕食時間へとシフトしていきます。
戻った小屋番さんは大変に気さくなベテランさんで、この日は今期で一番の利用者数だと嬉しそう。
ですよね・・・。
なぜならこの避難小屋は、主稜線から外れた場所にある隠れ家のような静かな避難小屋だと噂に聞いて、今回はそれ目的で訪れたんですけど(^_^;)
今期一番の利用者数・・・ww
予想外の賑やかですが、とても楽しい一夜になりそうです(≧∀≦)!
小屋の敷地内の茂みに入ると、水場があります。
美味しそうな湧き水が、小さな沢水となって流れています。
本日のお鍋用にたっぷり汲みますよ。
こんなに直ぐに、他から引いてない水場がある小屋は珍しいですね!
さぁ、今回は小屋番さん不在で無しと諦めていたビールをゲットして、スンドゥブ鍋です!
温まりますよ〜!(≧∀≦)!
でも、ヱビスは1200円でスーパードライは1000円と、COOLなお値段ではありました・・・(^_^;)
●DAY2〜天狗角力取避難小屋−三方境−竜門避難小屋
☆快晴の朝!長い主稜線への道
眩しい朝日が朝日連峰にやって来ました。
小屋を出立して稜線に戻ります。
山はオレンジ色がふりかかって照らされ、天狗の土俵では朝稽古開始でしょうか。
直ぐに天狗角力取山の山頂に着きました。
土俵と同じような円形の小さな広場が他にもあって、風が巻く地形や条件があるのでしょうか。不思議です。
山頂からの稜線は障子ヶ岳へも向かって伸びていて、朝日に照らされた稜線を見てしまうと、障子ヶ岳へも歩いたみたい気持ちになります。。
行く先を見れば、これから向かう主稜の野山並み。
美しいみちのくの山々の青いシルエットは感動の始まりです。
さぁ、主稜線へ行きますよ!
天狗角力取山避難小屋で話した方が言ってました。
主稜線まで長いよーと。
うん、長そうです(^_^;)
キラキラな朝の時間帯は、木々も自分もスーッと気持ちの良い時間。
山と一緒に目覚めていく身体が健やかすぎます(^_^;)
主稜線までは小さなピークが幾つかあって、登ったり下ったり。
最初のピーク、ウツノシマ峰です。
穏やかな林と眺望の中を歩く気持ちの良い尾根道。
表情豊かな、秋のオブジェみたいな色彩の道です。
胸が高鳴るような”美しい”が溢れています。
歩いてきた尾根筋を振り返れば、滑らかな背筋みたい。
障子ヶ岳も遠くなりましたね。
湯沢峰に到着です。
小さなピークを渡りながら眺望も紅葉も楽しめる尾根歩き。
次のピークは?とポイントも測りやすくて、時間調整もしやすいです。
次のピークは二ツ石山ですが、スルスルと下り歩きから、もう道の先に見えていて嬉しい。
眺望も良くて、足元の谷筋から小さく見付川かな?
壁のような山並みは大頭森山という山筋でしょうか。
その向こうには雲海に沈む山形の街と、更に遠く宮城県へ続く山々。
谷と山は賑やかな色彩のパレット。
主稜線へ向かう尾根道が最後に盛り上がっている様子が丸見えですね(^_^;)
主稜線の北寒江から寒江山と南寒江山が立派に聳えています。
崖尾根の向こうには以東岳も覗いていますね( ´艸`)
主稜線へ向かう長い尾根道。
次のピークは高松峰ですが、二ツ石山から距離も2時間弱かかる道です。
加えて岩稜帯の細尾根を渡りながら、危険な箇所も数カ所ある厳しい道で、ヘルメットがあった方が安心な感じです。
危険な自然の吊り橋です(^_^;)
せわしなく移動する雲の下で、巨大で美しい山に向かう冒険みたいです。
高松峰まで来れば、もう主稜線は間近です。
以東岳が立派に山容を広げています!美しい山!
高松峰までは、崖に面してザレた急斜面のトラバースや、崖上の危険なロープ直登もあって、緊張するシーンが多くあって大変でしたが、なんとか無事にここまで詰めてきました(^_^)
そして、主稜線に乗っかりました!(≧∀≦)
ほんと、長かった〜。
三方境のピークからは伊東岳への道と朝日岳への道が稜線上に繋がっています。
北の伊東岳方向には狐穴避難小屋が、ポツンと一軒家のように可愛らしい姿で建っています。
天狗角力取山避難小屋も素敵な場所に建っていましたが、狐穴小屋も負けないくらい素敵です( ´艸`)
ようやくに主稜線歩きの始まりです(*^o^*)
まずは北寒江山へ。
しかし、北寒江山の登りから振り返って見た伊東岳への道が素晴らしすぎて、目が釘付けです。
これは、いつか目指したいな!
伊東岳への道はまた次回に取っておいて、目指すは朝日岳方面へ!
熊笹と草紅葉の混ざった道の先には、寒江山から竜門山へ続いています。
その峰筋を辿って西朝日岳と、その左向こうにには尖り▲の大朝日岳が見えます!
寒江山に着いた頃には、伊東岳方面の空には雲が重くかかり始めていました。
目的地の竜門避難小屋は真逆の南方面だけど、早めに着きたいですね(^_^;)
でも、嬉しいことに向かう南方面は美しい夕暮れを準備し始めているようです。
目的地の竜門避難小屋が見えてきましたよ!
この避難小屋も何て素敵な場所に建っているのでしょう!
☆特上の竜門避難小屋
竜門山避難小屋へと到着です(≧∀≦)
シーズンも終わり近い避難小屋は、平日は小屋番さんは不在ですが、綺麗な水洗トイレは2つ使用できるようになっていました。
先に到着しているハイカーさん達に、よろしくお願いしますと挨拶をして、2階の隅っこに寝床を作ります。
今回から夏用シュラフから少しボリュームあるタイプへ変更して持ってきました。
ナンガの3シーズンモデルでダウン量380gのシュラフです。
小屋横にある水場からはジャンジャン水が流れています!
秋時期の稜線にこんなに豊富な水が出てるなんて驚きですね。
到着して直ぐに、天狗角力取小屋で購入してあった黄金水を水場で冷やしておきましたよ(≧∀≦)!
小屋で出会った人々と気さくに話しながら、美しく美味しく楽しい宴の時を過ごします。
今晩は平湯のバスセンターで購入した飛騨牛ハンバーグ(常温保存)を朴葉味噌に乗せてグツグツなご馳走です(≧∀≦)!
宴の途中、夕陽がきれいだよ!と教えて貰って、小屋の窓からぬくぬくとビール片手に夕焼けを眺める。
美しく至福な宝物みたいな、1日の終わり・・・。
●DAY3〜竜門避難小屋ー朝日岳ー古寺鉱泉登山口
☆竜門小屋からワクワクの大朝日岳へ
美しい朝が訪れました。
太陽の方向には大朝日岳がある方。
今日は大朝日岳へ向かって歩きますよ(≧∀≦)!
竜門山避難小屋が朝日に照らされて見送ってくれます。
小屋で話した人達も、それぞれの目的地へ向かって旅立って行きました。
スッキリした朝の晴天は、出立からすぐにガスに覆われて寂しい西朝日岳です。
西朝日岳から道は東へと向かって角度を変え、目の前では稜線上のガス雲の攻防戦が繰り広げられます。
立ち上って押し寄せる雲と、押し返そうとする大気。
頑張れ、青空!
西朝日岳を下ったコルには小さな池とうが煌めいていて、水草もヤマハハコも、淡い秋色になって枯れていきます。
歩いてきた道がようやく見えて来ました。
どうやら青空が勝ってくれたよう(≧∀≦)
中岳の南斜面をトラバースします。
そして進む先の徐々に開ける視界には、大朝日岳の端正な三角型が現れました!
なんてダイナミックな山の道と天気。
いよいよ、朝日岳に取り付きますよ!
☆朝日岳ピークから極錦な小朝日
中岳をゆるく下った谷部には金玉水の分岐ですが、水場は下りて先にありそうなので、スルー。
小屋と朝日岳を見上げます。
大朝日岳山頂避難小屋に到着です。
小屋締めがもうすぐなので、小屋番さんが回りの道のロープを外していました。
秋の次に、雪はすぐやって来るのでしょうね。
近くにいた人に、うるさくして良いですか?と聞いて、鐘を一つ鳴らす。
響く音色が、歩いた道と空へ放たれていきます。
小屋横の道から大朝日岳へ。
すぐに小屋を見下ろす高さになって、まっすぐ空へ登って行くみたいです。
広くてなだらかな山頂部に乗っかれば、歩いてきた道が遙かに見渡せます。
隠れて見えない天狗角力取山への尾根道も、この視界の中に。
よく歩いて来たなぁ・・・。
大朝日岳の山頂に着きました!(≧∀≦)
石柱山頂標の天板が山の方位盤になっています。
みちのくの名峰の、行きたい山の名前が大朝日岳を囲む。
雲に隠れては現れてを繰り返す南方向には、平岩山への道。
朝日連峰の主稜線へは、幾つもの尾根道が延びています。
進むか戻るか、どの尾根から旅をするか・・・
たくさんの歩き方がある、雄大な朝日連峰。
そして下山道の尾根もバッチリ見えます。
どこもみんな気持ちよさそうな尾根道。
小朝日岳の赤色が、特に濃く見えますね。
☆柔らかな古寺鉱泉への下山道
小屋の分岐に戻って、古寺鉱泉への下山道へ進みます。
振り返れば、大朝日岳山避難小屋と大朝日岳。
主稜線から見た三角錐の大朝日岳とはまるで山容が違います。
尖った大朝日岳もかっこ良くて目指す指標でしたが、下山で見上げる大朝日岳は柔らかく優しげに見送っいるみたい。
小朝日岳を正面に、石畳に整備された年期の入った登山道です。
天狗角力取山への道も石畳で整備されていたっけ。
地元の人々のこの山脈への深い親愛感を思います。
程なく銀玉水の水場分岐。
金玉水は寄れなかったっけど、登山道横に湧き出ている水を頂きつつ、さっそく小休憩してしまう(^_^;)
萌える彩りの大朝日岳を見ながら、振り返るのは山と道の旅。
向かう小朝日岳は、最高の紅葉ピークを迎えています!(≧∀≦)
小朝日岳の山肌は錦色した細かな刺繍が施されているみたいに豪華!
良いもの見ているなぁ・・・。
でも下山時間が厳しいので、小朝日岳は登らずに巻き道を行きます。
大朝日岳と、歩いている時には見えなかった西朝日岳が見えます。
小朝日岳の分岐出口に出れば、小寺山への尾根道。
広がる眺望の向こうに月山が青く雲をまとっています。
小寺山に到着です。
すっかり晴れの日になった正午の朝日連峰。
紅葉と青空と太陽の眩しさが目に厳しい暗い(^_^;)
しかし、小寺山から望む大朝日岳の何て堂々とした美しさでしょう!!
左から小朝日岳、大朝日岳、西朝日岳!(≧∀≦)
と並んで全部が視界に入る迫力です。
それから、歩いて来た道を目で追い、主稜線の山並みにお別れします。
森の中に帰ります。
小寺山から緩やかな道は、樹木の根が網のよう。
程なく三沢清水の水場にさしかかります。
豊かな水場に咲く花。
途中にも、合体の樹を名付けられた樹があって、自然の不思議さと強さを感じました。
君たちの関係性は?と思わず聞いてしまいました(^_^;)
古寺鉱泉へ下山してきました。
古くからあった古寺鉱泉の建物は壊れ朽ちていました。
以前の鉱泉では温泉が利用できた様ですが、現在の新しい施設には無いようです。
登山道へかかる橋も、春に自然災害で通行不可になっていたようですが、新しく架け直されていました。
ゴールの古寺鉱泉案内センターに着きました!
案内センターとありますが、宿泊施設につき見学不可との看板です。
ちょっと入りにくい雰囲気ですが、バッジが売っている貼り紙に立ち寄ってみました。
朝日連峰のバッジをゲットです(≧∀≦)
うれしい!
朝日連峰は標高の高い山ではないけれど、深くて遠い道のりは日本アルプスのよう。
長い道のりを山道を噛みしめるように登って下って、遠くへと続く道を旅する。
綺麗しかない朝日連峰の山旅だけど、美しいと思うのは厳しい道を歩いているからかな。
きっと、どこでもドアで「どうぞ」と差し出された景色は綺麗だろうけど、感動は無いでしょう。
至る過程があって丸ごと美しくて素晴らしいのが山旅ですね。
朝日連峰はまた何度でも再訪したい場所。
季節も変えて、次回が楽しみです!
今回の山歩きルート