旅のこと

雲を越えたところ☆御嶽山

登山道 雲に浮かぶ石像

北アルプスと中央アルプスの連なりの中で、

御嶽山はちょっと外れた場所。

形が台形で、デコボコしていて、昔話で見かける怖い山の挿絵みたい。

昔話の怖い山は大抵ちょっと離れた場所にあって、山頂は雲の上に飛び出している。

御嶽山はそんなイメージに似ている気がする。

この山には、今も何かが住んでいるみたいです。

mataTabi  2022年8月
行き先は御嶽山

富士山の次に高い火山の御嶽山。
コースは御岳ロープウェイを利用して、山頂駅のある7合目の黒沢登山道からスタートです。

火口から概ね500メートルは立入規制区域ですが、この令和4年7月10日より二ノ池から剣が峰までは通行可能に緩和されました。

御嶽山立入規制情報(黒沢登山道)

御岳ロープウェイ乗り場です。
標高1570メートルの鹿の瀨駅から標高2150メートルの飯森高原駅まで上げてくれて、まじ助かる〜(≧∀≦)

センターハウスの中はお土産物屋さんもあり、御嶽山のジオラマが展示されています。
大きくて立派なジオラマ!今からこの天辺へいきますよー。

ゴンドラリフトの乗り場は、階段を上がって出た先にあるようです。

階段からセンターハウス出ると、広い敷地!
スキー場で使われていたリフトと、色とりどりに咲く花壇の花がかわいらしい。
以前はファミリーゲレンデだったのでしょう。

こちらがゴンドラリフト乗り場。

御岳ロープウェイスキー場で利用されていたゴンドラリフトですが、営業が休止された平成22年以降は夏季だけの運行になっています。

上のお空模様は明らかにガスガスでーす(T-T)

ゴンドラリフトを降りた飯森高原駅は7合目の位置になります。
階段を上がって左へ進むと黒沢口登山道に入ります。

ロープウェイから降りて散策する人の為なのかな?
少しの区間だけウッドチップの敷き詰められた、きれいな遊歩道になっている。

程なく、7合目行者山荘に着きました。
ロープウェイの駅から10分くらいです。

年月を匂わせる古色蒼然とした山荘。
この黒沢口登山道は江戸時代、覚明という行者様が開いた御嶽山最初の登山道だそう。

 

登山道の真ん中に山荘の入り口があって、中を通らないと先に行けない?
なんて戸惑っていたら、ちゃんと右側に道がありました(^_^;

 

山荘の中の道は両側が縁側になっていて、腰掛けて休憩が出来るスタイル。
ずっと昔から、旅の行者達がわらじを脱がずに、こうしてお茶で休んだのでしょうか。

黒く光った壁と柱の、古い山小屋です。

ちなみに、山荘の中はこんな感じ。

めちゃ良くないですか?この計算されたような空間のセンス(≧∀≦)
ずっと見ていられる(^_^;

山荘の裏手には、この黒沢登山口を開いた覚明行者が奉られています。

原始は山そのものを崇拝していた、と書き始められている。

山荘の裏手には、沢の豊かな水が流れている。
御嶽山の豊かな水はいくつもの沢や滝になって木曽川や飛騨川へ…。

八合目までは森の道。


階段も作られて整備された道ですが、多くの人々に歩かれているから、壊れたり崩れたり、荒れてしまっています。

頂上までの距離を書いた、古い道標が200米毎に置かれている。

八合目の女人堂が見えて来ました。

150年前までは、女性はこの先へは登ることが出来ませんでした。

えー?(T-T)ここからがメインでしょ?
ホント時代が違って良かったです(^_^;

 

その八合目は殆どの登山者が休憩ポイントにしている場所で、山小屋も開いています。

ドリンクがアルミの金だらいに入れて売られていて、清涼感のある演出が夏山っぽい(^_^)

そして山岳信仰の聖地、御嶽山には数多くの霊神碑(れいじんひ)が建てられています。

この八合目には、阿波ヶ嶽という沢山の霊神碑群。徳島に縁がある霊神碑群のようで、近くに金剛童子もあります。

霊神碑の数は御嶽山全体で2万個ほどとのこと(O_O)
後で気になり調べたら、霊神碑は御嶽教という教派神道の信者さんが、死後の魂が御嶽山に居られるよう願って建てた碑だそうで、お墓じゃありません。

また、八合目には2014年の噴火によって被害を受けた頂上奥社の仮殿兼社務所として作られた、御嶽神社の中社があります。

現在は山頂に再建された、新しい社務所があるので、閉ざされているみたい。

さ、ここからは森林限界の道を登っていきます。

標高は2480m。でも、まーだ緑豊かな低木に彩られた道です。
荒れぎみだけどw…(^_^;

ここから9合目までは、いくつもの石像が建てられています。

古い石像から、近年な感じの石像まで、たくさん。

低木の岩山へ様相を変えてきたけれど、厚いガスで眺望はもちろん無く、山頂方面のシルエットがなんとか見える程度です。

下も横も雲に包まれる中を進んで行くと、不意に空が明るくなって視界が少しだけ開いてきました!

あぁ、見えるって嬉しい〜(≧∀≦)
下は変わらずに雲の中に隠れてしまっているけど、山頂方向の雲は切れている様子!

頂上1000米。石室山荘も近づいて来ました。

ところで、山の岩に名前書いてそのまま霊神碑もあるんだー(O_O)

石室山荘の真下の分岐に来ました。
崖に石積で固められた上に建てられていて、思わず見上げてしまいます。

右へ進み、石階段を上がって正面に小屋の入り口です。

そして、この小屋の中の通路は登山道でもあります。
手前の分岐はありますが、こっちに来たら小屋の中を通らないと山頂へは行けません(^_^;

土間の登山道を挟んで両サイドに腰掛け休むスタイルは、7合目の行者山荘と同じですね。
もしや昔は迂回路も無くて、もれなく小屋中を通って休憩でお金落とさないと山頂へ行けなかったの?なんてねー(^_^;

天気も怪しいので、まだ休憩は帰りに取っときますよ。
さあ、9合目の石室山荘から山頂への扉を開けて進みましょう!

って…、ドンヨリ〜(T-T)
それでもなんとか稜線は見えてきました。

石室山荘からキツめな登りを詰めて行くと、またもや小屋と鳥居です。

しかし、見上げてばっかり…(^_^;
斜度のある地形に建物とか石垣とか建てたら、そりゃ高々とします。

ギリギリの場所に建てられている避難小屋は、風雨に晒されて崩壊寸前。
その横を整備された石の階段と、立派な鳥居が建てられています。
何となく、こんなに立派なんだから、併せて避難小屋もなんとか…な気持ちに(^_^;

この階段の上は、覚明行者の霊神碑が建てられた覚明堂でした。

なるほど、立派〜!
他の霊神碑と違って、お社になっています。さすが黒沢口開山の祖。

白装束の登拝者さん達も、たくさん登って来られます。

覚明行者は誰もが登拝で御嶽山に来られるように、お上に反抗しながらも集団登山を繰り返し、登山道を改修された行者さん。

当時は修行を積んだ行者さんしか登ってはいけなかったそうです。
昔からの慣例を破ることになって神威を汚す事になるって理由。
なんだか、お役所っぽいですねw

ところが、登山道が出来て全国から人が来ることが経済発展になると気付いたら、手のひら返してOKにして、しかも入山料も徴収するという…(^_^;

非常にざっくりとした私の理解なので、あしからずw

そして少し緩やかになった道。山頂の広がりへと入っていきます。

とは言え、横にはまだむき出しな崖もあって、いよいよ核心部って感じです。

稜線に乗り上げて、広がるのは荒涼とした岩山の世界。

あの先の尖りが剣ヶ峰かな?
山頂への道は遊歩道のようになだらかで、歩きやすい道。

分岐には、もう読むことも難しくなっている古い山頂の地図版。

山頂部に地図が必要なほど、広い台形の山頂部は、南北に約3.5キロ広がっています。

今日は雲が多すぎて、広い山頂部を見渡すことは難しそう。

山頂部の外輪山には幾つものピークがあるので、次回は外輪山を巡るプランで登るのも楽しそうです。

右手に、二ノ池小屋が見えました。
残雪と、緑の二ノ池。
一ノ池は枯れてしまっているので、この小さな二ノ池が日本最高の高山湖だそうです。
湖というよりは、名前の通り池にしか見えませんが…(^_^;
手前には覚明上人立ち往生の地が見えます。

あ。
青空が来た!

あの鳥居は何だろう?
空へ向かう参道へ掛かる鳥居?…。

この山から続いている、見えない道があるのかも知れないな…なんて想像w。

山頂への道の、たった一瞬の晴れ間が特別に感じる瞬間です。
振り返って見えるモノは、空と雲と道と人だけ。

新しく、きれいな待避壕が建てられた剣ヶ峰の山頂下に着きました。

常時観測されている47火山のうち、退避壕が設置されている火山は11火山だそうで、御嶽山は待避壕のある山。

3基の待避壕は、地上でコンクリートで造られたホッチキスのような[]型を、上下に分割してヘリで荷揚げをし、ここで組み立てられました。
山の景観に配慮して、側面には石のパネルが貼られたそう。

20センチの壁で、幅が2.2m 高さ2.0m 奥行4.0mの火山シェルターは、一基につき30人の待避が可能です。

全てが新しい山頂。

慰霊碑へ手を合わせ、階段を上って奥社のある山頂へ進みます。

山頂にある、木曽御岳神社です。

木曽御岳神社の奥社本宮は、この黒沢口と王滝口と2カ所あるみたいです。

山頂に着いて参拝したとたんに、雨が降り始めました(^_^;

山頂部は整地されていて、ちょっとだけ広場になっています。

けっこう本降りになったので、本宮前に建ってる待避壕で雨宿りしつつ、おむすびを立ち食い(^_^;
小一時間くらい止みそうに無いのでレインウェアを着て、すぐ横の頂標へ。

雨に煙る山頂。山頂標は以前の標柱に、新しく板が打ち付けられたのでしょうか。

ここからの眺望はどんな眺めなんだろうなぁ…。

雨なので、ちょっとメソメソ(T-T)ふう記念写真ですw。

3000メートル以上の山で雨に降られるのは、お初かも…。

 

基本、不安定な予報時に3000m級の山には行かないんですが、そんな点では御嶽山は山頂までのお手軽感が魅力のコースなので、ちょっと不安定な位ならまぁ良いかなーって(^_^;
でも、やっぱり晴れたお山が良いですね。反省…。

新しい本宮奥社では、御朱印や御守りが販売されているので、御守りを頂き、再び階段下の新しい待避壕で雨宿りします。

やっぱり小一時間くらい、小雨を見計らって下山をはじめます。

すると直ぐに雨が上がって、晴れてきたー(≧∀≦)

うわー!向こうの外輪山は摩利支天山かな!?北の空から晴れ始めている様。
少しでも山頂の景色が垣間見られて、良かったー。

ここからは、登りの時とは違う山のような景色の中。空に浮かぶように地上へ向かいます。

立ち上る雲に差し込む日の光は、まるでこの山の霊気のよう。

古の人たちも、こんなふうに高山の霊気に触れて心を浄化させていたのかな。

心が浄化出来ちゃうと、お腹もすいちゃってw
登りで素通りした石室山荘で雨具装備を解きつつ、ホッと一服休憩です。

おでんにお汁粉と、甘いしょっぱい組み合わせ〜w

下山方向の出入り口横では、杖に入れる焼印の型にバーナーで熱を当てていました。

へぇ〜、熱した焼き型に杖を押しつけて、印を付けるのかぁ。

そして、山荘を出るとスッカリお天気は回復!

晴れはじめた雲の眺めは、生き物みたいに動き流れて圧倒される。

こんなふうに、いま自分が立っている場所から見える目線は、石仏さんと同じなかな。

山と大地と雲と空がひとつになっている世界。

 

振り返り見上げる山頂は、晴れそうで晴れなさそうで、…でも眩しくて。
郷愁にも似たような…また来たいな、と思える山。

下る道々。

空の中に、弘法大師と霊神碑群が、なんだか気持ちよさそうに建ってるw

ラストは、御岳ロープウェイで2150mにある7合目から、1570mにある五合目まで下ります。行きも帰りも15分で運んでくれます。

山頂駅の屋上には展望台があって、晴れていれば隣の乗鞍岳から穂高岳、槍ヶ岳の北アルプスと、八ヶ岳や浅間山まで見ることが出来るそう。…晴れていれば(^_^;

朝とは違って、晴れた鹿の瀨駅に着いて本日終了。

今回の行程

スタート飯森高原駅<8分>行場山荘<50分>女人堂<58分>石室山荘<7分>覚明堂<6分>黒沢口分岐<4分>黒沢十字路<19分>御嶽山<32分>黒沢十字路<15分>石室山荘<42分>女人堂<49分>行場山荘<11分>飯盛高原駅ゴール

山行4時間55分 休憩1時間35分 合計6時間31分

御岳ロープウェイが確実に運行される予定が立っているのは、今年の令和4年11月まで。
運営会社がこのシーズンで撤退することになり、町は代わって運営する業者を公募しています。

まぁ、登山愛好家はロープウェイが無くなったとしても、色んなルートを考えるのも楽しいし、ボチボチやって来ると思うけど、やっぱりロープウェイがあるって大きいと思う。

御嶽山は剣ヶ峰まで行けば3000メートルの山で、その山頂へ日帰りハイキングとして、親しみやすい位置にあったのは、御岳ロープウェイがあったからだもの。

御嶽山は覚明行者から時代を通して、誰もが親しみやすくしていこう、誰もが登りやすくしていこうって、常に働きかけてきた山なのかもしれない。

だからかな?もう一度登りたいって思うし、心の中でまた行けるイメージが、あの大きな山には有るように思いました。

御岳ロープウェイのホームページ

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追記☆参考サイトを少し…

・活火山における退避壕等の 充実に向けた手引き

御嶽教って何?