山の姿が変わってしまう。
そんなにも大きな山崩れがあった稗田山。
あったはずの山がごっそりと無くなるって、
もの凄い変動。
明治の時代に起こった山崩れは、
日本三大山崩と言われる程の山崩れでした。
剥ぎ取ると言う意味を当てた地名の稗(ヒウ)。
新しく現れた山は、荒々しい崖の山。
mataTabi 2023年2月
行き先は白馬の大崩落 稗田山。
稗田山(ひえだやま)は、長野県安曇野群小谷村にある1443mの山です。
白馬連峰の中にある白馬乗鞍岳(2456m)から続いた尾根のピーク山頂。
すぐ横に白馬コルチナスキー場があって、冬は多くのスキー客が訪れる白馬スノーリゾートのひとつです(^▽^)
もちろん広大な白馬の中にはBCスキーのコースも沢山あります。
この白馬エリアの美味しいところは、各スキー場のリフトを使って山の奥へ行きやすいって事!(≧∀≦)
標高をお金でお買い上げして、楽〜にもっと先の世界へ歩いて行ける。
今回は、その目的地の最寄りのリフトを使って上がり、夏では歩くことが出来ない山を歩いて、滑って来ましたよ!
白馬コルチナスキー場のリフトTOPです。
前日まで雪がじゃんじゃん降ってからの快晴!
狙い澄ましたスキーヤーやスノーボーダーで朝イチのリフトから賑わっています。
そしてリフトトップのすぐ横には、バックカントリーへのゲートがあります。
スキー場管轄外であって、エリア外は自己責任との注意書きと、そのほか基本最低限のお知らせが記載されています。
今回は友人らと5名のパーティ。
さあ、出発でーす!
いきなり視界は白と青だけに!
誰も歩いていない森の中を、先頭がラッセルをして道を作ります。
ありがとうございまーす!
なかなかな斜度をトラバースしつつ、斜めに上がりつつ高度を上げていきます。
ここを滑り降りても楽しそうよね、なんて上を見上げます。
強い日射しが、雪の上へモザイクまだらの濃い影絵を描いてる。
何度も何度も口から出るのは、キレイ‥。
ふんわり小枝に腰掛けた雪ん子が、得意げに見下ろしているみたいです。
仲間の作る一本道をたどって進みます。
見上げれば木々に覆われた頭上に圧倒されて、上下の感覚が狂いそうになる。
晴れ雪だ。
日に緩んだ木々の雪が、二度目の粉雪となって降り注ぐよ。
火打山と妙高山の山並みがお隣に見えます。
夢みたいに美しい森を越えて、程なく視界が広がるフィールドへ出ました。
大崩落です!!(≧∀≦)
うわー!スゴイ〜!!
白馬にこんな場所が合ったなんて、知りませんでした(゚Д゚)
めちゃくちゃ広いですよ!!
“大崩落のぞき”と地図にはあるけれど、覗くどころか先の雪庇が怖くて、これ以上前には行きませ〜ん(O_O)
このままずっと雄大な景色を見ながら、崩落線沿いにエントリー場所まで行ければ良いのですが、やっぱり崖の上は歩けませんので、左手から南側の森を抜けてポイントへ向かいます。
少しの間は、木々の隙間から大崩落を横目に雪歩き。
こんなに穏やかな雪道のすぐ横は、巨大な崖となっているなんて不思議な感じです。
シール歩行は、スキーの板にシールという雪が滑らないシートを装着して歩きます。
スリッパを引きずるみたいな感じ?w
雪はフカフカ。この板を履いていなければ、足は雪の中へ埋まってしまいます。
スル‥スル‥と仲間の付けた2本のラインをなぞりながら、のんびりと進む崖の稜線道。
木々の雪がまるで白い垂れ花火のようです。
木が途切れた崖っぷちから、大崩落の斜面がよく見えました。
中央にある尾根を手前側へ、岩の無い場所を選んで滑る予定です。
木に吹き着いたエビのシッポ。
この場所の、穏やかじゃない無い日の横顔のようです。
吹きだまりの雪庇は、膨らんだおでんのはんぺんみたいw
崖をよけ、森の中へ入って進みます。
もうじき正午の太陽は、元気いっぱいそうで安心〜(*^▽^*)
しかし、ここからの登りがキツかったぁ〜!
(T-T)
もう一段上の崖へ上がって行くには、最後の踏ん張りどころです。
仲間の精鋭部隊?が交代で深雪を踏み込みラッセルをして、後続の道を開いてくれます。
傾斜のキツい場所は、夏道より雪道のほうがやっぱり倍くらいに大変(^0^;)
自分の頭上を、先頭がつづら折りの道を作りながら、雪を漕いで行きます。
あと少し!遠くから鹿島槍ヶ岳がこちらを見ていますよ。
尾根を乗り越えて、再び大崩落側へ出てきました。
アニマルトラックだけが残された場所。
さあ、どこからエントリーしましょうか!
o(^-^)o
とは言え、
取りあえずお腹もペコペコなので、まずは休憩をとってから滑走準備をすることにします。
お向かいさんに、火打山を眺めつつ最上級の素晴らしいランチタイム(≧∀≦)!
お腹も落ち着いて、スキー板のシールを剥がして滑走準備OK!
スルスルとエントリーポイントの方へ近寄ります。
先行に続き、ここからドロップスタートしま〜すo(^o^)o
先に突入した仲間のシュプールが深く刻まれていますね。
つづいて、私も最初の一本を滑りましたよ!
フカフカ〜!(≧∀≦)
続いて2本目は、コロコロ雪玉が駆け下りている先の雑木左を狙ってルートを取ります。
1番手さんの滑り、気持ちよさそう〜!
自分も、いつかあんなふうに滑りたいです(^0^;)
その二本目のシュプールです。
全員で一斉に滑るのでは無く、順番にひとりずつ滑ります。
危険が無さそうか現場の地形を確認しつつ、大きく逸脱しないようにします。
三本目。下を覗いてどんな感じに下ろうか偵察する同行者。
滑りに夢中になっていたけど、ふと横を見れば大崩落の中に踏み入った景色。
南に遠く鹿島槍ヶ岳が浮かんで見える。
こちらは、真横の壁になった大崩落の北側。
そして大崩落の崖っぷち。一瞬でここまで下ったなぁと見上げるw
急な崖っぷちを避けて、滑りはじめは尾根筋を選んで下っていましたが、いよいよ大崩落の中心カール部へ滑り込みますよ!o(^o^)o
あまりにも広くて、何て楽しそうな斜度の天然バーンでしょうか!(≧∀≦)
もう、ここは上から地形も丸見えなので、自分だけのシュプールを好きな場所へ描いて滑ります!
しかし!w
1番手、2番手、3番手たちは順番に埋まってるんですけど〜!(^▽^)
3人とも小さすぎる豆粒みたいだから、転ぶシーンもコミカル。
救助が必要でしょうか?(笑)
どうも、雪の堅さが場所によって違っている様子。
雪自体も、太陽に照らされて重パウになってきています(^0^;)
一気に滑り降りる足が残っていないので、カール途中でストップ。
滑走跡を眩しく見上げます。
仲間たちの待つ向こうは、横一列で並んだ名峰が広がる雄大な眺め!
こんなに素晴らしい景色を楽しみながら、誰も踏んでいない自然のゲレンデを滑る。
なんて贅沢で素晴らしい遊びなのだろう!と改めて感じる瞬間です。
さて、とっても広いバーンを楽しんで、次のターンに入ります。
地形はこの先はだんだんと谷間へと変わって行くので、広い場所は徐々に狭くなり、形は複雑になっていきます。
まるで妙高山へ向かっているようなド迫力なトラバース。
雑木をよけて、こんな場所。
ヤセ尾根に滑り込みつつ右下へ90度折れて下ります。
スピード注意で慎重に行きます(@@;)
正午をだいぶ回って、雪質は日向と日陰でガチャガチャと別物・・・。
中はしっとり外はさっくりモナカ雪に変わってきて、みんな苦労し始めます。
広くて快適そうな最後の広いエリアですが、なかなか大変でしたよ(T-T)
転ぶと、柔らかいから深ぁ〜く埋まるのに、雪が重くて抜け出れられない・・・。
とは言え、なんやかんや崖の上からここまで滑って来た!(≧∀≦)
さて、ここからはもう広いエリアはありません。
谷間へと降りていきますよ〜。
いきなりの、大きな滝が口を広げています!
ここへ落ちたら救助はもう不可能(;。;)
慎重にスピードをコントロールしながら滝をよけて滑り降ります。
続いてガチな谷間です。
こんなふうに雪が剥がれていなかったら谷底道はやな感じです。
雪の下に隠れている渓谷。
夏のこの場所はどんな沢が流れているんだろう。
真横を見上げれば、崖からコロコロと転がる雪玉の跡。
ここで、壁が出現です(^_^;)
微妙な登り返しの高さに、板にシールを付けて登るか、そのままエッジを効かせ横歩きで上がるか。
それぞれ、自己判断で登り返します。
私は既に足に力も無く、横に沢がぱっくり落とし穴になっているので、シールを装着しました(^_^;)
登り返しを乗り越え、再び午後の谷間をゴールへ向かって滑走します。
振り返れば、大崩落はもう谷間に隠れて遠くに・・・。
大崩落の崖の上から遠く小さく見えていた橋です。
この橋を渡れば林道。
道をゆるゆる、ゴール地点へと滑ります。
スキー場のカントリーコースみたいな優しい傾斜の林道ルート。
夕陽に変わったお日様が、優しく斜めに全てを照らします。
雪の積もる田畑を照らして、キラキラと反射をする光と長い影の交差する中。
少し仲間たちと距離を開けて、ひとりユラユラと揺れる様に滑る黄昏の道。
無音の時間に、小さく鼻歌を口ずさみながら、ご機嫌ゴールとなりました(^▽^)
今回の行程