手前から望む霞沢岳ピーク
霞沢岳は北アルプス南部にある標高2,646mの山です。
北アルプスの常念山脈の最南端にあって、梓川支流の霞沢源流がこの山であることが霞沢岳の名前の由来になっています。
山岳リゾート上高地から望む霞沢岳は、近くて行きやすそうに思える山。
でも実際はエスケープルートも無い、山頂へ向かう一本だけの登山道しか道はありません。
長い長い一本道。
その先にある山頂を目指して、夏の賑わう上高地から人の姿が消え失せた霞沢岳へ行ってきました。
2023年8月中頃 行き先は霞沢岳
✿もくじ✿
●真夏の上高地はリゾート観光で大賑わい
今年の夏も上高地に来ることが出来ましたよ!
お盆休みウィーク!
でも今年の酷暑は、山岳リゾート上高地でも避暑にならない気温です(T-T)
恒例になってしまった出発前の栄養補給は、いつもの上高地食堂です。本当に上高地はどんどんお洒落になっていきますね。
ブランチ蕎麦〜!頂きます(≧∀≦)
本当に数年ぶり、再び観光客がドッと押し寄せていた今年の上高地。
バスを降りた瞬間、壁のように聳える穂高岳を見上げて驚くカップルに、逆に新鮮味を感じてしまう自分がいます(^_^;
かっぱ橋までの遊歩道も、老若男女、国際色豊かな風景で皆さん美しい上高地の自然を楽しんでいて、テンションも上がり。
どうだ!日本の山の自然はとっても凄いんだぞ!って、勝手に誇らしく嬉しく思います。
人で溢れかえったかっぱ橋を過ぎると、少しだけ息を付ける隙間ある上高地になります。
ぽくぽく、明神まで。
熊目撃の立て札に、人が多いけど上高地は山の中だって事に気付きます。
明神分岐からすぐに徳本峠の分岐があります。手前の開けた河原からは明神岳が空を突いてる。
●明神先の分岐から徳本峠へ
遊歩道の分岐は、意識してなければ気付かずに通り過ぎてしまいそうな、さりげない雰囲気。
この分岐から徳沢や横尾へ向かう奥上高地自然探勝路と、徳本峠へと分かれます。
道に入れば、誰1人いなくなってしまった。
同じ上高地の中とは信じられないくらいの静かな道は、ひたすら平に、まっすぐに南へと延びています。
貸し切りの林道。
美しい原生林にぐるりと囲まれて、緑と日の光が揺らめく道です。
黒沢と白沢が出会う所から、道は黒沢側へと向かい、沢と一緒に上がって行き始めます。
道はガレた岩が多くなって徐々にキツくなっていき、徒渉ポイントも数カ所。
沢を横切って振り返った向こうには、穗高岳が見えます。
道はどんどん傾斜が増して九十九折りの道。厳しい箇所には梯子もかけられていて、整備の良さが助かります。
ようやく分岐まで着いたら、徳本峠まではほんの少しです。
●7年ぶり!徳本峠
徳本峠に到着です!
島々と上高地を繋ぐ峠越えの道は江戸時代から利用されており、このクラッシックルートが唯一上高地へ入る道だったそうです。
峠にある徳本小屋の前には広場があって、テント場になっています。
歴史のある徳本小屋は登録有形文化財になっていて、長い年月を補修を繰り返し当時の面影を残しています。
表の古い建築物に繋がって、奥には新しく建てられた小屋があります。こんなタイプの山小屋はこの徳本小屋くらいじゃないでしょうか。
小屋の先には、島々谷へ降りる登山道が延びていますが、現在は通行止めになっています。
登山道には虎ロープがかけられ、雑草が生い茂った道は姿も分からなくなっていました。
以前に歩いた、島々宿へと続くクラッシクルートを脳裏に浮かべ、早く復旧する日が来ることを願います。
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本日はここで終了。テントを設営して、夕方の時間をまったり過ごします。
テント場は、小屋前の広場の他に林間のスペースもありますが、眺望の良い広場に設営をしましたよ(≧∀≦)
今回もテントは軽さと快適さを兼ね備えた、オクトスのシングルウォールテントです。
のんびり夕ご飯にビールで過ごす山の夏休み。
メニューは日清インスタント焼きそばに厚切りハムのトッピング(≧∀≦)
至福の時です。
台風の影響が残る天気予報は、二日間ともに午後からガスに覆われて雨との予報。
不安定な山の大気はザーッと雨を降らせて、今日はもう夜半まで雨かな?と思っていたら、突然に晴れた夕方が訪れる。
だから、山は素晴らしい。
移り変わる、魔法がかった時間帯ですね・・・
●徳本峠からジャンクションピーク
予想よりも雲が多めの朝から出発です。
スタジオジャンクションから望む穂高岳のなんと美しい姿でしょうか。
徳本峠からの道は、一旦緩く下ってからの登り返し。
背中越し、森の木々の中に朝日がやって来ます。
遮る物がないご来光は見事なショータイムですが、森林の中で迎える朝日は木々と一体になって浴びる強い光です。
眺望ない森の道だけど、朝日に背中を押されて登り始めます。
ジャンクションピーク手前、チラリと木々の隙間から見える穗高岳も朝日に照らされてオレンジ色。
ジャンクションピークにつきました。
南側の景色が開けて見えて、樹林ばかりだった登りに一息。
ジャンクションピークから先に、更に素晴らしい眺望が望める場所があって、そこから南アルプスが遠く霞んで浮かんでしました。奥には小さな富士山の頭が覗いています(O_O)
そして、ハッキリと目の前に堂々とした姿を見せてくれたのは、乗鞍岳。奥に御嶽山と感動の景観です!
●霞沢の森はひっそり静かで、深くて濃い
道は再び森林の中へと入って行きます。
でも、日射しと気温はどんどん上がっていく中、登って下って、登って下ってを繰り返す樹林帯の道に、疲労感。
道筋の途中で谷に出ると、涼しい風が通って気持ちよく、お花畑と景色に元気をもらいます。
ようやく樹林を抜ける高さへと近づいて来たようです。
霞沢岳が木々の隙間から見下ろしているから、まだまだ登って行く感じですね(T-T)
反対側の、木々の隙間から見える穗高岳は見る度にカッコイイとため息が出るお姿。
●激のぼり(@@;)そしてK1ピーク
狭い道幅のトラバースから巻くように方向を変えつつ道は上がっていきます。
眼下には大正池辺りがチラッと目に入ってきました。
そして激登りの続くロープ地帯と対峙します。
ロープ、ロープ、またロープ!の長い登り道(T-T)
手袋越しにも手のひらが熱くなってきます。
眺望が開いた場所からは、グッと近づいた感じの穗高岳と岳沢小屋の赤い屋根。
昨年は向こうに居たっけな‥なんて思い出しつつ、頑張って目の前の急登を進みます。
そして、ようやくK1ピークへとよじ登って到着です!!
●K1ピークから胸躍る核心部の稜線
やっと、・・・抜け出た。
そんな感じに、長くてしつこい樹林帯の稜線道を脱し、足元から解放された景色のある高みへ届きました。
先の道はもう後ふたつ登って下っての稜線道ですが、目的地が見えるから楽しみしかありません(≧∀≦)
眼下には大正ホテルも見えて、上高地に最寄りな山だったって事実が改めて不思議に感じる道のりの長さ(@@;)
足元には霞沢岳の由来になった霞沢の雄大な広がりを見下ろして、遠く見えない沢筋の先、山々の雫を集めながら、さわんどで梓川と出会う水の旅を想います。
K1からK2のピークへはあっという間。
とは言え、午後になって雲が大量に発生し始めて来たことに焦りを感じます。
まさかの山頂はガスの中登頂?(@@;)
東側から押し寄せるガスに覆われて霞沢岳山頂は隠れてしまっています。
西側はまだ晴れをキープしていて、焼岳がお隣にドンと居ますよ。
振り返ってK2とその向こうにK1。
さらにその向こうには穗高岳が青い雲をくゆらせています。
岩の隙間に真っ白いトウヤクリンドウが可愛らしく覗いて、出迎えてくれる一本道は、誰もいない自分だけの道です。
●霞む霞沢岳
霞沢岳の山頂に到着です(≧∀≦)!
先に到着されていた男性が休憩されていましたが、一本道のピストン道中では時間から計っても、もう自分が最後のハイカーだと分かります。
小さな額のような山頂は、雲がなければきっと素晴らしい眺望が望めそうですが、やっぱり少し遅いタイミングだったようで雲が穗高岳をすっかり隠してしまいました(T-T)
少し左手の焼岳は標高の違いもあって変わらずに姿を見せてくれて、嬉しいですね!
ピストンで戻るタイムリミットもあるので、山頂の休憩時間もゆっくり出来ません。
でも、ご褒美おやつに持ってきたフルーツを頬ばって、長い道のりの終着点にたどり着いた満足感を味わいます。
霞沢岳山頂から望む穗高岳の眺望は残念ですが、来る道々で美しい姿を望む時間がいくつもあって、その度に息を呑む北アルプスの王者穗高岳に出会えました。
時間と共に山の表情は見る度に変わって、それらを味わいながら着いたピークは旅の途中の通過点。
近くの名峰から遠くの山脈まで、長い道のりだからこそ、色々とちりばめられた眺望のポイントがあったコースでした。
戻り道は、もう自分の後ろには誰も居ない一本道の下山コース。
雨の降り出しをドキドキと歩きましたが、この上高地の山中に誰ひとり居ない特別感は贅沢しかない気分( ´艸`)
雨にも降られずに徳本峠へ帰着出来ました。
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お疲れ様のご褒美も、定番となった嘉門次小屋のイワナ定食!
やっぱりお盆休みウィークなので、かつてない賑わいでしたが大満足です(≧∀≦)
夏休みの北アルプスは、いつも何度訪れても憧れの場所。
たくさんの冒険とたくさんの思い出を、いつだって自分の人生に与えてくれる。
ザ・夏休みってスケジュールの今年の上高地も、きっといつまでも記憶に残る夏の思い出になりそうです。
今回の山歩きルート